佐渡の食 俺の備忘録 石鯛を突く | 佐渡の食と佐渡の食文化

佐渡の食と佐渡の食文化

生まれ育った佐渡の郷土の食や素材や料理法など綴っています。昭和の頃食べた伝統的な料理や素材にまつわる家族や村の話など交えて記憶に残る景色を綴っております。
株式会社創 代表取締役 東京都渋谷区代々木2-30-4 YCS2階
https://www.tsukuru-web.com

佐渡の海で泳げば

いろんな岩場で目にする

まるで工事中のテープ縞の魚

これが釣り人垂涎の魚

石鯛の幼魚である

我が村ではカタバと呼ぶ

固い歯だからだと思う。

 

磯の三枚網にかかったり

アブラメ釣りにゆくと釣れる。

 

こいつが成長すると

黄ばんだ肌が真っ白くなり

黒の縞が入り石鯛らしくなる。

そして体長が30センチを超えると

全体的に黒ずんできて

縞もわからなくなるという。

岩場の深いところに潜み

固い歯で貝でもガリガリに噛んで

餌にしてしまう。

九州から帰省した兄が

深いところでこいつを見つけたが

夕方近くになってしまい

岩の奥が見えないらしく

翌日チャレンジするという

兄はひたすら一本のゴムヤスで

魚突き漁が専門

ハチメ

カサゴ

アブラメ

ベラ

タナゴ

そいつを軽く空焼きにして

持ち帰り時より

九州の甘い醤油で煮えつけにして

しこたま酒を煽ることがしばしば。

 

翌日ものの見事に石鯛を突いた

頭は黒ずんでいて

尻尾の方に白い部分が残る大物。

 

ただ石鯛は夏の間は磯臭い

いわゆるネコマタギな魚

たぶん食べる餌の性であろう。

 

こんなでかいのを空焼き出来ない

だからおしるしとして

カブトだけ空焼きにした

身は仕方ない5枚におろし

氷で締めて洗いにし

残りは醤油で漬けにした。

秋から冬にかけては

石鯛は皮下の白くなるところが

脂がのって刺身で非常に旨い

がしかし夏は旨み半減

臭み全開である。

 

口角泡を飛ばし

前日からの執念

石鯛を潜って突く

話を語り

酒を煽り

洗いをつまみ

ご満悦

締めは漬けにした石鯛の鯛茶

そりゃー旨いに決まってる

耳が悪くて潜れない

お抱え料理人がいるからね我が家には。