私には覚えている前世がけっこうたくさんあります。そしてその多くが、色々視える人生でした。



ある人生では、未来を見通す女性でした。


視ようと思って見るのではなく、突然バーっと鮮明なビジョンが脳裏に映る人でした。


このビジョンは絶対で、一度も例外なく現実に起こっていました。


能力に苦しみつつも、街の人たちを助けたりしながら、自分にできるベストを尽くして暮らしていたある日、数日後にここ一帯が洪水にのまれるというビジョンを見ます。(洪水という言葉を使っていますが実際には津波だったと思います)


そして数日後、視えたとおりに街は波に飲まれ、その女性も命を落としました。


何のために、何のためにこの能力があったのだ。


未来を変えることもできず、救うこともできず、何のためにこの能力があったというのだ。


迫りくる波を見ながら、最期にこう思いました。





またある人生では、霊能力がある人間が狩られる時代でした。


監視の人間(現代でいう警察のようなポジションの男)が時折家を訪ねてきます。


その男の奥に、訪ねた家の人間が霊能者かどうか、見分けるためだけに生かされている霊能力のある男がいます。(この男も怯えています)


霊能力があるとバレたら殺されてしまうので、常に細心の注意を払って体から霊力が漏れないようにしています。


監視の人間が立ち去るとホッとします。激しい緊張とストレスです。


そんな環境なので、女性は今で言う強迫性障害のような感じでした。

常に不安で、家の中にいても落ち着けませんでした。


霊力を抑えるために沢山の指輪をつけて、ボロボロの布で頭を隠して外出していました。


当時は霊力のある人間の体のパーツが高値で取引されていたので、殺されるだけならまだしも、死んだ後も体を呪術などの道具に使われてしまう、おぞましい時代でした。


その女性の最期は覚えていません。


一番強く覚えているのは、監視の目から逃れるたびに胸を撫で下ろす感覚です。