片方の大腿骨が折れている。
立てない、歩けない、
座るにも、横になるにも、一苦労。
もちろん、寝返りも打てない。
そして、ほんのわずか身体を動かすだけでも、
両方の股関節周りに、激痛が走る。
オオー痛い!痛い!
オオー痛い!と、
繰り返される、Kさん(80代女性)
パーキンソンの上、骨粗鬆症で、
いつのまにか股関節が折れていたそう。
しかし、手術もできずそのままになっている。
歩行器を使わなければ移動もできない。
週に1度訪問マッサージを受けている。
大腿部は、カチコチ。
ちょっと触れただけでも、オオー痛い!と声が出てしまいます。
特に折れているという右足は、いつ折れたのか、
どのようになっているのかもわからないので、動かすこともできない。
マッサージは受けられているようなので、
鍼で疼痛緩和をはかってきました。
週に1度鍼を打ち、そこそこ楽になっていってはいるけれど、
時間が経てば、また辛い、そのような状態に変わりはない。
しかし、改めてお聞きして驚きました。
訪問マッサージでは、理由はわからないが、
足のマッサージは受けられていないという。
そこで、思い切って方針を変えました。
「自分でやりましょう!」
こことここを押してみてください、痛いでしょう?
それで、こうやってほぐれると・・・
だいぶ痛みが取れているでしょう?
立ち上がる時には、歩行器にガッチリとつかまり、
全身をあずけて、渾身の力を振り絞り、片足だけで、
「ううーん、ヨイショウ!」と掛け声をかけ、
やっとのことで、立ち上がる。
でも、立ち上がり方を説明しますと、
ヒョイ!あら?力も使わず、立てた。
コツがわかると、片足だけでも、簡単に立てるのです。
もちろん、掛け声や気合なんていりません。
ご一緒される息子さんのお仕事の都合で、治療間隔が、
2週間空いてしまいました。
なのに、Kさんの、大腿部が、ふわっと柔らかくなっている。
これまで、週1で鍼を行ってきたときよりも、
状態がいいのです。
そして、バンバンにむくんだ、棒のようになっていた下腿も、
細くなってきています。
Kさん、お伝えしたこと、毎日真面目になさっていたのですね!
その脚が、物語っています。
寝返りも打てるようになったし、健側の左ヒザは、少しだけ、
曲げられるように。
もうちょっとで、左足は、靴下が自分で履けるようになりますし、
かゆいときには、かけるようになりますよ。
もしも、私が、ずっと「鍼をする人」になり、
Kさんが、「治療を受ける人」のままでいたら、この状態は、
ずっと膠着したままになったかもしれない。
本当は、ご本人のお身体は、ご本人で、
良くしていけるのですね。