映画「コクリコ坂から」 | 意匠太郎☆デザイナーな日々

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かわいいモノゴト、かっこいいモノゴト、こだわりのモノゴトなどを、
デザイナー意匠太郎の価値観で綴ります。

DVDを知人から借りて観ました。

...とても「大人な映画」なので、
大人にも、そして子どもたちにもお勧め出来る作品。中だるみせずに観れる91分。

舞台は1963年の横浜。映画の背景には、まだ戦争の匂いが漂っているけれど、「上を向いて歩こう」のキャッチコピーがしっくりくる、人々がそれぞれに前を向いて生きていた時代の映画。
そして、主人公が高校生なので、どうしても自分の高校時代と合わせて観てしまう。
そう、まさに全開で毎日を過ごしていた時代。「ああ、高校時代って、こうだったよね~」という、力技の若さと、せつない恋愛を等身大で感じられます。

劇中、主人公たちが歩く山下公園、ホテルニューグランド、氷川丸、マリンタワー。
氷川丸は当時の白と緑の塗装から白と黒へ、マリンタワーは白と赤の塗装からシルバーグレーへと変わったけれど、今でもそこを歩けば劇中と同じ雰囲気を味わえます。



自分は横須賀出身なので、あの周辺の港町の雰囲気をとても身近に感じます。自分が生まれる前の時代の話だけれど、子どもの頃の横須賀もやはり似たような情緒がありました。材木屋はまだ、クラシックなマツダの(劇中ではくろがねの)三輪トラックで走り回っていたし、大型タンカーを桟橋に横付けするタグボートに乗せてもらったこともある。海から見える港、その後の丘、山はまさに「コクリコ坂」の風景と同じでした。

特典ディスクには監督:宮崎吾郎氏のインタビューがあるのだけれど、彼は埼玉県出身ということで横浜には(多くの人が思うのと同じような)オシャレな憧れを感じるようです。
ただ、どうだろう...横須賀出身の自分も横浜出身者と似たような感覚を持っていると思うのだけれど、東京への憧れがあるわけでもなく、ある種の異国文化がごちゃ混ぜになった雰囲気を感じる港町や、すぐ後が山だったりする丘の町で育った人間として、そんな雰囲気がとても自然であって特別な価値があるとは思っていない。自分が高校時代を過ごした逗子や、鎌倉~湘南といった場所も似たようなもので、そういう意味で神奈川県下はそれぞれの地域が個性的で、その象徴が横浜なのかもしれない。だから、そんな横浜のかつての雰囲気を忠実に描いたこの作品に、とても情緒を感じるのです。



さて、この映画が劇場公開されたときは大して興味もなかった。
スタジオジブリの作品は、ナウシカしかり、ラピュタしかり、トトロしかりで、ファンタジー作品ばかりが期待されて、自分もそういう色眼鏡でみてしまっていた。
でも、こういった作品でもジブリらしさ、人の心に訴えかけるクオリティの高さを感じられることをあらためて知りました。

劇場公開時にもっとうまくプロモーションして、多くの人の目に触れるべきだったと思う。少なくとも(語弊があるかもしれないけれど)「ALWAYS~三丁目の夕日」よりは観る価値があると思う。
久しぶりに、良い映画、後味のイイ作品を観ました o(〃^▽^〃)o


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