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"異芯伝心" 違いを分かち合う

福岡を拠点に舞踊・アート・音楽・言語・食といった様々な角度から様々な文化交流活動を行っているティエンポの活動報告や文化の話を紹介しています。

 

アルゼンチン・アイデンティティ 
― 草原と港のあいだで生まれた国家 ―

アルゼンチン人シェフのパブロが語る「アルゼンチンの食文化」 第2弾

 

 

 

皆さん、こんにちは。パブロです。

 

 

 

前回、「アルゼンチンを理解するために、まずは一緒に火の前に立ちましょう」とお話ししました。

 

 


今回と次回の2回にわたり、僕たちのアイデンティティの核心である「火とAsado(アサード)」について語っていこうと思います。

まずは、その火をどのように起こすのか。
アルゼンチンのある「日曜日の風景」からお話ししましょう。

 

 

 


二重丸 日曜日の朝、街は「アサード」のために動き出す


アルゼンチンの日曜日の朝。

肉屋さんや八百屋さんは、家族や友人と囲むランチの食材を求める人たちで、あふれんばかりの活気に包まれます。

 


「アサード(肉を焼こう)!」

その一言から、アルゼンチンで最も重要で、愛されている食文化の儀式が始まります。

それは古くから続くガウチョ(カウボーイ)の遺産であり、僕たちが大切に守り続けてきた歴史的な伝統です。
 



二重丸「アサード」が持つ、いくつもの意味

 

実は、アルゼンチンにおいて「アサード」という言葉には、いくつかの深い意味が含まれています。

炎 料理としての「アサード」
誰かを最高の食事に誘うときの合言葉です。

「リエ、今度アサードを食べに来ない?」という誘いは、心を開く挨拶のようなものです。
 


炎 部位としての「アサード」
肉屋さんの店頭でもこの言葉が飛び交います。

実は、アサードは「リブ(骨付き肉)」という特定の部位も指すのです。

グリルには欠かせない主役級の部位で、列に並ぶ客たちは皆「アサードを2キロください!」と誇らしげに注文します。
 


炎 調理法としての「焼く(asar)」
オーブンや直火、そして薪や炭の強い熱を使ってじっくりと火を通す。その調理技術そのものも指しています。
 



二重丸 理由はなんだっていい、ただ集まるために


このように、アサードは単なる献立の名前ではありません。

それは「人と人とのつながり」そのものです。
祖父母の代から受け継がれてきた知恵であり、ときには熱い議論の場、ときには静かな語り合いの時間、そして何よりの「祝福」です。

テレビではサッカーやカーレースの中継が流れているかもしれません。
でも、理由はなんだっていいのです。

アルゼンチンにおいて、アサードのために誰かと集まることは、呼吸をするのと同じくらい「当然のこと」なのです。

アサードの物語は、ここからが本番です。

次回の「第二弾・後編」では、
いよいよ火を起こし、肉が焼かれ、人々が集まっていく……。
その熱狂と至福の瞬間を、一緒にのぞいてみましょう。

どうぞ、お楽しみに!



サンチョ・パンサ シェフ:パブロ