二胡の味は何だと思いますか?
「滑音」と思われる方が多いです。「滑音」は間違いなく二胡の味になりますが、二胡の味は「滑音」と言えません。
この記事は二胡の味の解説記事ではありませんので、そのまま「二胡の味」は「滑音」として、この記事を続けてお読みください。
まず、田宇の個人的な観点は、二胡の味より原曲に忠実にした方が良いと考えています。
例えば、あるインド人が日本の長唄や端唄などを歌う場面を想像してください。
インドの歌い方などを使ってインドの味を出したら日本人の皆さんはどう思われますか。この答えは日本人の皆さんの心の中にあるでしょう。
同じことで、二胡で「チャルダッシュ」を弾く時に、二胡の味を出したらどうでしょう。
欧米人はただ「面白い」と思うだけで、認めては頂けないと思います。
もちろん、二胡はヴァイオリンではなく、ヴァイオリンと完全に同じ味を出すのは無理ですが、できるだけヴァイオリンの味に近づくことは可能です。
次に、どうやって原曲に近い味を出せますか。皆さんはこの問題に一番関心があるでしょう。
答えは「推敲」(すいこう)です。
唐の時代の詩人・賈島(かとう)が「僧推月下門」(僧は推す月下の門)という句を作る際、「推す」を「敲く」にすべきか迷っていました。そうして夢中になって考えているうちに、都の長官で一流の文学者・韓愈(かんゆ)の行列に突っ込んでしまいます。 突き当たった理由を問われた賈島は、相手が唐詩四大家の一人であることを知り、教えを請いました。「推と敲のどちらが良いでしょう?」、その問いに韓愈は「敲にしたほうが良い」と助言。 このことから、詩文や文章を考え、練り直すことを「推敲」というようになったとされています。
恥ずかしい話しですが、田宇チャンネルの演奏動画は「大魚」から推敲を始めました。実は「大魚」より前の演奏動画は適当(即興)に弾きました。
「大魚」の時に、適当に弾いたら味が違うことに気づき、外弦と内弦の音色の違いと滑音の使い方を再認識して、よく推敲しました。
それ以降の全ての曲は充分に推敲してから弾きました。
「大魚」田宇演奏
推敲を始めたら、せっかく準備した楽譜をそのままにしておくのはもったいないと思い、有料メンバーシップを始めました。会員の皆様に差し上げる楽譜の弓法指法も田宇が推敲した結果です。
最後に、「推敲」は言うのはとても簡単ですが、やる時に2つの大切な点があります。
その一、原曲の味をよく理解しなければなりません。
例えば、東京弓弦楽団の曲はほとんど中国曲なので、いつも皆さんに「原曲をよく聴いてください」、「歌詞をよく理解してください」、「そのドラマをよく観てください」と言っています。
その二、原曲の味を出せる演奏技術を身につけることが必要です。
田宇チャンネルに公開している曲に「滑音」を使わないわけではなく、皆さんが思っている「滑音」と違う「滑音」を使っています。
正しく伝統曲を学べば、「滑音」は「千変万化」(せんぺんばんか)です。
例えば、「江南春色」の「滑音」と「河南小曲」の「滑音」は絶対に違うでしょう。「江南春色」の「滑音」で「河南小曲」を弾いたら、河南省の9872万人の不満を受ける覚悟が必要です。
つまり、伝統曲の学習を通して二胡の味を身につければ、他の曲に自由自在に使えるようになると思います。
芸術は基準がありません。奏者によって解釈なども違います。
以上は田宇の個人的な見解です。ご理解の程よろしくお願いいたします。
「滑音」と思われる方が多いです。「滑音」は間違いなく二胡の味になりますが、二胡の味は「滑音」と言えません。
この記事は二胡の味の解説記事ではありませんので、そのまま「二胡の味」は「滑音」として、この記事を続けてお読みください。
まず、田宇の個人的な観点は、二胡の味より原曲に忠実にした方が良いと考えています。
例えば、あるインド人が日本の長唄や端唄などを歌う場面を想像してください。
インドの歌い方などを使ってインドの味を出したら日本人の皆さんはどう思われますか。この答えは日本人の皆さんの心の中にあるでしょう。
同じことで、二胡で「チャルダッシュ」を弾く時に、二胡の味を出したらどうでしょう。
欧米人はただ「面白い」と思うだけで、認めては頂けないと思います。
もちろん、二胡はヴァイオリンではなく、ヴァイオリンと完全に同じ味を出すのは無理ですが、できるだけヴァイオリンの味に近づくことは可能です。
次に、どうやって原曲に近い味を出せますか。皆さんはこの問題に一番関心があるでしょう。
答えは「推敲」(すいこう)です。
唐の時代の詩人・賈島(かとう)が「僧推月下門」(僧は推す月下の門)という句を作る際、「推す」を「敲く」にすべきか迷っていました。そうして夢中になって考えているうちに、都の長官で一流の文学者・韓愈(かんゆ)の行列に突っ込んでしまいます。 突き当たった理由を問われた賈島は、相手が唐詩四大家の一人であることを知り、教えを請いました。「推と敲のどちらが良いでしょう?」、その問いに韓愈は「敲にしたほうが良い」と助言。 このことから、詩文や文章を考え、練り直すことを「推敲」というようになったとされています。
恥ずかしい話しですが、田宇チャンネルの演奏動画は「大魚」から推敲を始めました。実は「大魚」より前の演奏動画は適当(即興)に弾きました。
「大魚」の時に、適当に弾いたら味が違うことに気づき、外弦と内弦の音色の違いと滑音の使い方を再認識して、よく推敲しました。
それ以降の全ての曲は充分に推敲してから弾きました。
「大魚」田宇演奏
最後に、「推敲」は言うのはとても簡単ですが、やる時に2つの大切な点があります。
その一、原曲の味をよく理解しなければなりません。
例えば、東京弓弦楽団の曲はほとんど中国曲なので、いつも皆さんに「原曲をよく聴いてください」、「歌詞をよく理解してください」、「そのドラマをよく観てください」と言っています。
その二、原曲の味を出せる演奏技術を身につけることが必要です。
田宇チャンネルに公開している曲に「滑音」を使わないわけではなく、皆さんが思っている「滑音」と違う「滑音」を使っています。
正しく伝統曲を学べば、「滑音」は「千変万化」(せんぺんばんか)です。
例えば、「江南春色」の「滑音」と「河南小曲」の「滑音」は絶対に違うでしょう。「江南春色」の「滑音」で「河南小曲」を弾いたら、河南省の9872万人の不満を受ける覚悟が必要です。
つまり、伝統曲の学習を通して二胡の味を身につければ、他の曲に自由自在に使えるようになると思います。
芸術は基準がありません。奏者によって解釈なども違います。
以上は田宇の個人的な見解です。ご理解の程よろしくお願いいたします。
・・・・・・ピンインタイム・・・・・・
①滑音:huá yīn
②推敲:tuī qiāo
③贾岛:jiǎ dǎo
④僧推月下门:sēng tuī yuè xià mén
⑤韩愈:hán yù
⑥大鱼:dà yú
⑦弓指法:gōng zhǐ fǎ
⑧千变万化:qiān biàn wàn huà
⑨田宇:tián yǔ