今回もブログご覧頂きありがとうございます。


今回の記事は、大会前の減量方法についてです。
の解説なので、英語読める方、正確に知りたい方はこっちへどうぞ👋


さて、減量といえば、一番参考にされやすいのはボクサーの減量方法だと思います。
サウナスーツを着て走って、サウナに入って、徹底的に水分を排出して絞るといった方法です。


ですがパワーリフティングではこのテクニックは適切とは言えません。
なぜならば、パワーリフティングの検量が試合の二時間前の一方、プロボクシングは一般に一日前に行い、回復に当てられる時間が全く違うためです。

(学生やアマ、一部団体では違う様ですが、ここでは1例として取り上げます。そもそも対人競技であるため、回復が成績に与える影響はパワーリフティングと格闘技では違います。)


そこでパワーリフティングでは、必然的に2時間で回復の間に合う範囲で階級決定、減量を行う必要があるのです。


なのでこの記事は、試合二時間前検量のスポーツ殆どに参考に出来るものになると思います


まず残酷な話ですが、体重が5%を超えて失われると脱水症状が生じ、パフォーマンスは低下します。
そのため、常人ならばサウナに入って落とせるのは体重の5%が限度です。

脱水症状は回復までに24~48時間かかると言われているので、二時間前検量のスポーツの場合、直前に減少させられるのは尚更体重の5%迄です。


しかしこの実験は球技や陸上競技などを想定しての実験モデルなので、減量の参考にするには一部参考になりません。

なぜならば、この研究では測定前の体液濃度に関しては考慮されていないからです。


特に人間には、恒常性ホメオスタシスという体液濃度などを一定に保つようコントロールする機構があります。理科の授業で聞いたことあるのではないでしょうか。

バソプレシンやアルドステロンといったホルモンは、体液濃度を一定に保てるよう、水分の吸収排出をコントロールしています。

ホメオスタシスの設定値が調整されるには多少の期間を要するので、一時的に水分量が減少しても、体液濃度が正常であれば体調に変化は少なくなります。

更に水分量は体重の60%を占めるため、体内の水分量を減らすことでダイレクトに体重を減らすことができます。

そこで二時間前検量のスポーツの減量に有効と考えられるのは、体液濃度をコントロールすることで余分な水分を排出する事です。

元の体液濃度を低くしていれば、水分を排出することで体液濃度は丁度良いところに収まり、減量しながらも体調を崩すことはありません。

このことを生かすことで、脱水症状を起こすことなく体重を5%以上減らすことが理論上可能です。

これらのことは、英語圏ではwater manipulation と言われているようです。



また、そこまでオススメ出来ないですが更に体内の水分量を減らす方法があります。

1つは筋グリコーゲンを減らすことです。
筋グリコーゲンとは、炭水化物を摂取することで筋に貯蔵される備蓄エネルギー源のひとつです。

カーボローディングといった筋グリコーゲンの貯蔵を促進する方法は、持久系競技において有効ですが、瞬発的な競技においては効果はないようです。(エビデンス略)

そもそも瞬発競技において消費されるグリコーゲンの量はそこまで多くないです。
勿論瞬発競技では解糖系が使われ、体内の貯蔵グリコーゲンがメインのエネルギー源です。
グリコーゲンの消費は最初に肝臓>筋肉で使われ、運動時間が多くなるほど筋の部分が消費され始めます。更にグリコーゲン貯蔵量は肝臓より筋肉の方が多いですが、瞬発競技では肝臓のグリコーゲン量を枯渇させるほど消費しないため、筋グリコーゲンを減少させても理論上問題ないのです。

体内ではグリコーゲンを消費する際、グリコーゲンに引っ付いている水がエネルギーを生み出す際に解き放たれます。
糖質制限を行った際に短期間で体重が減少するのは、その水が排出されるためです。

これらを生かして筋力を低下させることなく水分量を減らすことができます。

筆者は大会の直前まで練習を行うため、短期間とはいえ筋グリコーゲンを減らすと練習中のスタミナや集中力に影響し調子を崩す恐れがあるため行いません。
好みや経験、ピーキング計画に応じて行うのが良いでしょう。

また、実施の際は、炭水化物を減らす分カロリー摂取量が減りますので、タンパク質や脂質を増やしてカロリー摂取量を維持するようにしましょう。

これらのことは、英語圏ではglycogen manipulationという様です。


また、食事の重量を減らすことで、腹の中に溜まっている便や食物の残りカスで体重を減らす方法もあります。

流動食やシェイク、マルチビタミンミネラルを利用し、食事の密度を増やすことで、通常の食事よりも消化管の内容物を減らすことで、消化管の内容物による余分な体重を抑えます。。

タンパク質20gを摂取する際、プロテインなら25~30g程で済みますが、鶏肉なら100g必要と例えるならわかりやすいでしょうか。

しかし咀嚼には唾液の分泌を促進し、炭水化物の消化を助けたり様々な恩恵があるため、本当に極短期に限られるでしょう。

英語圏ではfood waight manipulation と言うようです。


では具体的な方法に移ります。
glycogen manipulationの方法については※1
food waight manipulationの方法については※2
をご覧下さい



試合の5日前以前
普通に食事してください。水分も好きなように摂ります。特に弄る必要はないです。ただし余り水分を摂りすぎないようにしましょう。目安は4Lを1日ぐらいです。

※1高カーボでグリコーゲン量維持させるホメオスタシスを目覚めさせる日ですが、やりたくないならやらなくても良い。

※2なし



4日前
水を1日かけて8L飲んでください。←めちゃくちゃトイレ行くんでそこは気をつけて…
なお人間は、トレーニングや運動中を除き、1時間に500ml以上の水を飲むと、体の許容量を超えてしまいます。
1L以上1時間以内で飲むと、水中毒になるので、くれぐれも1時間500mlのペースは守ってください。都合上間に合わない場合は、トレーニング中と後、起床後、入浴前後はもう少し増やしてもいいかもしれません責任は取りません

また塩分の多いものを控えましょう。
原著では5gとなっていますが、普通に生活している日本人ではほぼ不可能だと思うので
味噌汁を減塩にするか飲まない
ソースやドレッシングを使わない
漬物を食べない
スープや汁を飲まない
ぐらいでもいいと思います。

※1普通の量のカーボを食べてください。

※2寝る前の一食を流動食にします。栄養価には気をつけて!



3日前
同じく8L飲みます。
一時的に体重は若干増えますが気にしない。
塩分も同様に控えましょう。

この二日間で、大量の水を飲んだことにより、まず体液濃度を低くしなければいけないと体が気づき始めます。

※1カーボの量を半分に、最高200g程にします。

※2寝る前の一食を流動食にします。



2日前
水分を4Lに減らします。大体トレーニーならいつもの調子ぐらいで良いです。
塩分はできればもっと減らしてください。ただし減らしすぎると生命に関わるので、最低1gは取ってください。

この日から体は、低下した体液濃度を正常に戻す様、溶媒となるナトリウムの吸収が激しくなるので、気をつけてください。
ここで体液濃度を挙げなければ、体は同時並行して行っている水分の排出のみで体液濃度を元に戻すので、水分は減り、体重は減り始めます。ただしこの時の減りはごく僅かですがお気になさらず。

またカフェイン錠剤やカリウム、マグネシウムを、摂取量を守って使用するのも良いでしょう。
水分の排出作用がありますが、くれぐれも用法用量を守ってください。

※1カーボの量を1/4にします。最大150gにしてください。

※2二食分を流動食にしてください。



1日前
水分を2Lに減らします。
まともなパフォーマンスするためにはこの水分量が限度です。
塩分量も最低1g程度です。
そして検量12時間前から、水分の摂取は抑えてください。
上記のサプリメントも摂ると良いでしょう。

※1炭水化物をほぼ抜いてください。入れたとしても食物繊維のみで。

※2全てを流動食にしてください。栄養価に気をつけて。


当日
水分が欲しくなれば、ガムや飴などで我慢しましょう。

検量後の回復食は様々な意見がありますが、経口補水液、アミノ酸、カーボパウダー、うどんや雑炊など消化に良いものを時間をかけて食べてください。

この時に塩分の入っていない水分を摂ると、体液濃度が低い状態から更に下げることになるので、体に吸収されず吐くか下します。


以上が具体的な方法です。
まとめるとこうなっています
{0904A3E7-154F-4D82-97B5-BC3F73466813}



以下は筆者の経験を記していきます。



4日前
8L飲むことで一時間置きにトイレ行きたくなっています。しんどいです。このテクニックでは3,4日前が一番辛いです笑

塩分は味噌汁やめたり昼飯のそばを塩のないおにぎりに変えたりしました。調味料はドレッシングやソースは普通に使いますね。


3日前
少し体重は増えますが怖がらずに飲み続けます。
カーボの調整はしていません。


2日前
水分を4Lに減らしましたが、トイレの頻度は変わりません。水分排出のためにカフェイン錠剤を飲み始めた影響もあるかもしれません。


1日前
大体この時点で+1~2kgぐらいです。
ここで私は毎回ビビって、サウナや岩盤浴に入って階級体重になるまでか、100gオーバー程まで減らしています。
このぐらいなら脱水症状の出る5%の範囲内です。水分も1日に2L飲めるので、サウナ入っても喉の乾きを潤す程度には飲めてそこまで苦しくないです。
この後も体重は尿や蒸気で減っていますので、焦らないように。

そしてなるべく素材に近い、塩分の僅かなものを検量の12時間前までに食べ、リミットを3~100gほどオーバーして寝ます。


当日
大体階級体重マイナス1kgになっており、サウナ必要なかったんじゃないかと軽く後悔します笑
体重に余裕はあるので軽く朝ご飯を食べ、後は体重見ながら炭水化物やアミノ酸を飲み食いして検量はクリアーです。

終わったあとの補給は、すぐさま経口補水液を適量飲み、軽くうどん等を食べ、その後はチビチビEAA10gとMD50gを1Lの水に溶かしたものを飲んだりしましたね。




当時私は66kg級で出場しており、三試合で71~68kgから5日で65.7kg(三試合とも同じ検量体重)まで減らしています。起きた直後はもっと低いです。
割合としては約7%~3.4%ですね。通常なら脱水症状起こしています。

結果としては、初参戦で一般含めて3位になったり、一般含めて1位になったり、失格したりしましたが、必ずどこかの種目でベスト更新しています。


また、68kgの時はそこまで減量してないとも思われますが、当時私はベストボディへの出場も控えており、体脂肪率が非常に少ない状態出会ったこと、また身長174cmであることを考えると、ギリギリだったと思います。


ただしこれをやらずに減量している方も沢山います。
私が大会でお会いした74kg級の選手は、二日前からサウナで90kgスタートで落とし始め、成功し、経口補水液5本飲んでリカバリーし優勝していました笑
例外かとは思います笑


感覚として、流石に10%以上減らす場合はお勧めしにくいですが、
減量幅が5%、多くても6~7%程度であれば、参考にしてはいかがでしょうか?


お読みいただきありがとうございます。
イイね、コメントお願いします。