※前回の記事『空中戦法55歩型』
横歩取りの一変化が気になって考えたり調べたりしていたら、
いつの間にか五時間以上経っていた。
この記事が世に出る頃、きっと私は白紙を涙で染めている…
26歩 34歩 76歩 84歩 25歩 85歩
78金 32金 24歩 同歩 同飛 86歩
同歩 同飛 34飛 33角 36飛 84飛
26飛 22銀 87歩 52王 48銀…(B)
今回さまよったのは最古にして最新の84飛・52王型で、
先手は中原囲いと中住居の両方に対応できなくてはならない。
最近まで私は現代風の16歩~17桂を愛用していたものの…
先手番らしい作戦とは言えず、拭いきれない違和感はあった。
そこで48銀・68玉型を調べてみた次第である。
(先に68玉でも大差はないが、銀を優先したほうが手広い)
88角成 同銀 44角 36飛…(B0)
88角成~44角~27歩~26歩~88角成~27銀の筋で、
無数の定跡書による集団イジメを受け続けた哀れな48銀だが…
浮いている金に36飛が当たるので多分この戦形では大丈夫だ。
金取りを受けてくればそこで38金と上がり、持久戦に導く。
(既に36歩と突いてあれば44角のとき35歩と捨てる手がある)
いずれにせよ角の投資に見合う何かを後手が得ることはない。
後手に41王や23銀と備えられたら…そこで36歩と突けばいい。
62銀 68玉 72金 36歩 86歩 同歩
同飛 35歩 85飛 75歩…(B1)
後手の中住居に対しては鏡指しが有力とされているが、
私はどうも好きになれそうもない(し、恐らく互角止まり)。
…68玉型のほうが後手を追い詰めていく感もあって楽しい。
先手は「48銀~68玉~36歩~37銀」と進めていくのが基本。
そして、後手が74歩と突いてきた瞬間に35歩を狙う。
…この黄金パターンを避けるため、
後手はどこかで86歩から動かざるを得なくなる(ことが多い)。
・単に75同飛の変化も38銀型より薄いぶん危険を伴うが…
以下 33角成 同桂 34歩 25飛 同飛 同桂 85飛で先手持ち。
・「羽生の頭脳」にも載っている 25歩 同飛 75飛には、
77角ではなく37銀と上がるのが有力で…後手の旗色が悪い。
単に88角成~14角なら28飛~66角が厳しいし、
収まれば手損角換わりv.s.早繰り銀の諸変化より大分得だ。
※ちなみにこの37銀はショパン先生のブログで教わりました。
62銀 68玉 51金 36歩 86歩 同歩
同飛 35歩 85飛 75歩…(B2)
本当は中住居の変化をもっと掘り下げてみたいところだが…
ひとまずは現在の主流、後手中原囲いの変化に移ろう。
この場合、86歩からの揺さぶりはそれほど怖くなさそうだ。
48銀型でも前図と同様に進めておけば82歩が厳しく残るし、
94歩と37銀の交換が入れば46銀があるぶん更に好条件だ。
もしどこかで74歩と突いてくれば、例によって35歩である。
75歩~73桂には58金と中央に厚く構えてそうそう潰れない。
※82歩があるので三筋の歩を守る必要もなく、37銀で良い。
86歩には 34歩 88角成 同銀 44角 28飛と開き直っておき、
87歩成~99角成と来させて77桂(~96銀)~66角で大丈夫。
62銀 68玉 51金 36歩 94歩 37銀
95歩 33角成 同桂 88銀…(B3)
95歩まで進んでくると流石に端攻めが気になるので、
ここで角交換して収めてしまうのが手堅い。
次は23銀だろうが93桂だろうが28飛と引き揚げておき…
24銀には56角、85桂なら66角~79玉で動きを封じに出たい。
25歩~28飛にも、28飛~27歩と謝って何の不満もない。
私は王将戦第三局が未来の定跡になって欲しいと思っている。
そこでは子供たちが力強く王様を上がり、そしてこう叫ぶ…
「俺が、俺たちが王将だ!」
72銀 68玉 74歩 46歩 73桂 45歩
85飛 44歩 同歩 36歩…(B4)
後手が72銀と一手早く戦闘態勢に入る形…これが難敵だ。
今までのゴールデンプラン通りに36歩と突くと、
今度は75歩~86歩で仕掛けられて先手陣は最悪の壁となる。
(さらに、38銀型と違って先手から角交換にも出にくい)
…この場合は46歩~45歩が最有力のような気がした。
後手が何をしてこようが次に44歩と捨ててしまう狙いで、
この筋が開けば、しばらくの間は後手から仕掛けられない。
…そうやって稼いだ時間でもって万全の態勢を築くのだ!
ちなみに38銀型で本譜と同様に進めようとした場合は、
85飛に代えて 75歩 同歩 88角成 同銀 54飛と指されて困る。
(後手の中央集権体制をこの陣形で受けきれるはずがない…)
48銀型が活きるとしたら多分、この辺りの変化だと思う。
※実は16歩~59金~15歩と何もせずに待つのが最善かも。
飛車の横利きを残して速攻を封じつつ、手に乗って戦う。
23銀は24歩。88角成~33桂には17桂。25歩も36飛~17桂。
24歩や23歩なら角換わり腰掛け銀風の持久戦を目指す。
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84飛型の空中戦は後手を持っても割と指していたのだが、
これらの変化群に風穴が空くまでは様子を見ようと思う。
もちろん、48銀型を咎める順が眠っている可能性は高い。
p.s.
後手玉のコビンを空けにいく68玉~46歩~45歩の構えは、
後手が62銀型(中原囲いなど)に組んできた場合の有力策。
(逆に…72銀型でこそ機をみて36歩を狙うべきなのかも)
いつものことながら、何を書いても真逆になっていく。。
※次回『空中戦法52王型 #2』
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