たのしいかくがわり | Thousand Days

Thousand Days

さうざん-でいず【千日手】
1. 同一局面の繰り返し4回。先後入れ換えてやり直し。
2. 今時珍しく将棋に凝っている大学生の将棋系ブログ。
主に居飛車党過激派向けの序盤作戦を網羅している他、
雑学医学数学物理自転車チェス等とりとめのない話題も…

 

photo:01


26歩 84歩 76歩 32金 78金 85歩
77角 34歩 88銀 77角成 同銀 42銀
96歩 94歩 38銀 72銀 46歩 64歩
47銀 63銀 68玉 52金 58金 41王
16歩 14歩 36歩 31王 56銀 54銀
79玉 44歩 37桂 74歩 66歩 33銀
48飛 42金右 88玉 22王…(G)


二手目に84歩と突けば(現時点では)大概こうなる。
…何が恐ろしいかって、後手から変化する余地がない。

先手の真似をして桂を跳ねると桂頭攻めを与えてしまうし、
歩の配置をどう変えても先手側には攻略法がある(っぽい)。

上図は最古にして最強の構えであり、
「専守防衛型」または「徹底抗戦型」と呼ばれている。
つらく厳しい戦況が容易に想像できる実に良い名前だ。。

※42金右に代えて素直な73桂跳ねも、実は相当手強い。
ただ 45歩 同歩 同銀 同銀 (55角は25桂) 同桂で先手有望。
86歩は同歩、44銀は(53桂成~41銀~44歩~…)71角、
37角は33桂成~49飛~68金右で角銀銀を持って71銀狙い。

 

 

photo:02


25桂 24銀 28角 75歩…(H)

ここで18香なら19角の隙が生じるので43金直と待つ。
25歩なら桂跳ねの筋が消えるので65歩と突っかける。
(65同歩には73桂、64角なら92飛だ)
後手陣は少し配置が変わるだけで潰れるので要注意。。

25桂~28角が谷川新手であり、
先手腰掛け銀が蘇ったのも正にこの打開策のおかげと言える。
(ちなみに当初は28角~25桂の順番だった)
次の45歩で飛角を同時に活用できるため、受けにくい。

対する75歩は郷田新手であり、
後手腰掛け銀がまだ滅びていないのはこの手のおかげである。
75同歩なら84飛と浮き、攻撃力を失うことなく64角を防げる。
(25桂の前に28角だと、75歩を手抜く暇がなくて余計に困る)

※25桂に37角なら 33桂成 同桂 49飛 26角成 39飛だろう。
47金~29飛or35歩を狙い、27桂を打たせて別の筋を攻める。
…見た目より遥かに難しく、入玉されないよう気を遣う。

 

 

photo:03


45歩 76歩 同銀 45歩 64角 73歩
74歩 62飛 37角 66飛 67金右 44角
…(I)


ここら辺から何かおかしな流れになりつつあるが気にしない。
37角に代えて28角なら、同様に進めて26角~25銀を狙う。

…右金以外の駒で追われた場合は飛車を撤退する。
プロは指さなくなりつつあるが、当然これも難解な戦いだ。

※実は 75同歩 84飛 45歩 同歩 同銀 同銀 同飛 54角に、
42飛成~74金と張り付く手も有力。(ただし69銀で互角)
先に76歩を利かされても42飛成~67銀打と築城して良し。

 
※※ 75同歩 84飛 45歩 同歩の後、44歩や55銀もある。
具体的に有利まで持っていくのは難しいが、一局の将棋。

 

 

photo:04

77桂 67飛成 同銀右 66歩 58金 46金
28角 74歩 71飛 75歩…(J)


飛車を切って得た虎の子の金将を、即座に辺境へと手放す。
この時点で明らかに常軌を逸しているが…これも定跡である。

74歩・71飛・75歩は全て受けの手。
後に下段飛車から24歩の攻めを警戒する後手と、
銀をどかしてからの76歩を恐れる先手が交わした調停案だ。

71飛に93桂なら35歩で先手が良くなってしまう。
(25銀~84桂にも、その瞬間24歩が絶妙の反撃となる)

 

 

photo:05

同飛成 26角 49飛 25銀 24歩 同歩
71龍 75歩…(K)


飛車を下段から逸らしておけば26角~25銀が可能になる。
(これで名目上は二枚替えの駒得となった)
対して46角~25飛の二枚替え返しは見た目ほど怖くない。
…玉形は後手のほうが堅いので、捌きあいは望むところだ。

当初の人生設計を思い出して24歩~71龍を選んだ先手に、
後手は再び75歩と問いかける。
王将リーグの豊島-渡辺85銀から結果的に千日手となったが、
後手の人は毛髪を犠牲に魔法の攻撃力を得たとしか思えない。

今回の竜王戦第一局では75同銀が出現した。
(新手ながら互いに深く研究しているのは間違いない)
しかしこの岐れ、本当に先手にとって最善なのだろうか。。


p.s.('12/10/16)
やっぱり75同銀自体、微妙だったようだ。
もしかするとこの定跡の結論は千日手&持将棋なのかも…?


※次回『愛と勇気と角は持ち』


iPhoneからの投稿