私は確かに学校の校舎の屋上にいたはずだった。それなのに…。
「ここはどこ?」
私は自分のいる場所を間違えたみたいに、まるで、いきなり宇宙に放り出されたかのように自分のいる場所が分からなくなってしまった。
しかも、私が今いる場所はとても暗く、何にも見えない。
私は、一人だった。
「今に始まったことじゃないか…。」
いつも、学校でも一人。
だれも私なんか見ていない。
そんな学校生活、家の生活に嫌気がさして、学校の屋上に行った。
それなのに。屋上に入ったとたん、目の前が暗くなり、何にも見えなくなってしまった。
「誰か!!いませんか?」
私はこの状況に怖くなってそう叫んだ。
「あれー?人間、だ。」
不意に声がした。私は、声のほうを振りかえると驚いた。
そこには、10歳くらいの男の子がいる。蜂蜜の色をしたきれいなふわふわと柔らかそうな髪の毛。緑色のくりっとした瞳。まるで何かのおとぎ話に出てくる男の子みたい。
私がここにいることがとても不思議って感じでこちらを見ている。
「あの…。」
私が声をかけようとするとその男の子はおもむろに話しかけてきた。
「きみ、誰?なんで、ここにいるの?」
「え…?」
いきなり話しかけられた私は、彼の気軽い口調に戸惑い、答えに詰まった。
いくら子供でも、目上に対する口のきき方くらい習っているはずだ。
それなのに彼にはおよそ、目上に話しているという意識がないかのように気軽い口調で話しかけている。
私は答えに迷っていると、彼はもう一度質問をしてきた。
「なんで、ここにきみがいるの?どうやって、ここにきたの?」
「え…と、屋上に来たつもりだったんだけど…。」
「屋上?」
「そう。私、学校の屋上に来たつもりだったんだけど、いきなり目の前が暗くなってここにいるんだけど、ここ、屋上じゃないの?」
私は彼にまくしたてるように聞いた。
ここがどこなのか。こんな暗い所で小さな男の子に会ったということは、屋上なのかもしれない。
なんで、こんな子が屋上にいるのかはわからないけど…。
「ここは屋上ってところではないと思うよ。」
彼はそういった。
「そんなはずないわ!だって、私は確かに屋上に…。」
私は思わず叫んだ。だって、確かに学校の屋上に行ったのだ。それなのに…。
「とりあえず、落ち着いたら?きみ、名前は?」
彼は、私に落ち着いた様子で話しかけてきた。
「…倉田 かな。」
そう、答えていた。10歳くらいの男の子に「きみ」といわれるのも微妙だったし、彼が言うとおり、少し落ち着いたほうがいいのかもしれない。そう思った。
「かなって言うんだ。僕はアイ。よろしくね、かな。」
アイはそういうと満面の笑顔で言った。