今年最初の読書は喜多川泰さんの本です。
思い切り自己啓発書なのに
心温まる小説、
小説なのに自己啓発書、
どちらの言い方がよいか悩みますが
読み終えると背筋が伸びる感覚があり、
よりよく生きていこう、
人生は素敵だな、
そんな気持ちになれる本ばかりです。
この本は知人に紹介をしてもらいました。
運転手ではなく運転者?
タクシー運転手がカギになるお話なので
ドライバー、の意味の運転する人を
想像していましたが
ドライバーでありながら
”(お客さまの)運を転じることを仕事をする人”
でもあるという、その人のいろいろなことが
見通せてしまう超能力的な才能も持った人が
そのひとの運命の岐路となる場面へ連れていき
運が好転するチャンスを提供する人であり、
その貴重なチャンスをモノにするための
人としての心がけや考え方を諭す人であり、
人生の選択と責任、そして成長という点に
重きが置かれている考え方をお持ちで、
総じて
過去の経験にとらわれず、未来に向かって
進んでいくことの大切さを教えてくれる人
だったのではないかと自分なりに解釈しています。
この本の主人公は
始めは仕事がうまくいかず、家族とも
ぎくしゃくする毎日にどこか他責の部分と
自分の運のなさに心底失望し、
どうせ・・・とばかり嘆いていました。
こんな風になってしまったのも○○だから、
××のせい、そんなふうなので
何一つ面白みを感じず、不運だと
嘆いてばかりだったところに
この、”運を転じてくれる人”が現れたのです。
ただ、なぜこの主人公のもとに運転者が
来てくれたのか、
それは
主人公自身の”運の良さ”ではなく、
これまでに運を積んできた人(徳を重ねてきた人)
が次世代の私たちのために残し託してくれた
”運”を、ありがたく受け取れたのだと
いうことでした。
結局人は一人では生きていけないということ、
助け合いだということ、
人の為に何かをするときに力が発揮できる
ようにできていること
そんなことが本から伝わってきた気がします。
この主人公も最初は反発的で聞き入れる
余裕もなかったのに
徐々に、徐々に、素直さが生まれてきて
自分自身を顧みることもできるようになり、
この教えを受け取ることができるようになって
周囲の人の為に何かをしたい、という心境の変化も起こり
実際人生が好転し始めたというお話で終わっています。
私も日々の中でうまくいかないこと、思い通りに
ならないことに対して否定的な受け止め方に
なってしまうこともあります。
それを、過去の、何かのせいにしたくなって
しまうこともあって、
それにとらわれることで自分の人生を
不幸にしているととらえてしまい
そういう自分が嫌いだなと思うこともあります。
この主人公もそうやって自分の人生を
嘆いていたところは通じるところがあった気がします。
そんな主人公に運転者は
”起きたことの受け止め方次第で幸福にも
不幸にもなる、意味づけは自分がすること”
ということを諭してくれたのではないかと
感じています。
更には”運は自分でつかみ取るもの”であり、
日々の積み重ねによって「貯める」という
考え方ができること、
周囲の人とのつながりが人生を豊かにすること、
何かを成し遂げるためにはまず行動することが
大切であることなど、
私が停滞している状態にビンゴなメッセージ
がたくさんありました。
たくさんありすぎて、ド正論過ぎて、
実は、この本の出だしをあまり素直な気持ちで
読めなかったのです。
できていないところを直球で指摘された感じでした。
恐らく主人公の頑な気持ちと似ていて、
素直さに欠けていたことで抵抗感を
感じたからなのではないかと思います。
徐々に山を越えて下りに入った感覚のように
最後まで読み終えることができた今は、
少し、心が緩んだのではないかと思っています。
きばらず、周囲に感謝の気持ちを持ち、
自分自身も一つ一つを積み重ねていく
謙虚な気持ちを持てるようになりたい、
今までも何度もそういうことを思っては
思うようにならない自分がいましたが
この本を通じて
もう一度、そのことを教わることができました。