毎年成人の日には

サントリーの新聞広告で

伊集院静さんからのメッセージが

掲載されています。

私の記憶ではウイスキー(お酒)を

テーマの一つにした内容だったと

思うのですが

成人が18歳に引き下げられたから

ですね、「水」というワードを

使ったメッセージでした。

そうやって毎年この筆者のことを

思い出すのですが本を読んだ事が

なかったなと思い、

並ぶ本の中から

気になったタイトルを手に取った

のでした。

 

伊集院さんご自身がこれまで

身近な大切な人、愛犬との別れの

経験を経て感じること、悟ること

を新しい経験に重ね合わせながら

短いエッセーにして綴られた本でした。

出会い、別れ、哀しみ、後悔・・・

一つ一つはとてもつらく耐えられない

ような思いばかりだったと思います。

(実際自暴自棄になってしまったような

記載もありましたので)

だけどそれを

「乗り越えてきた」

という感じではなく、

「その出来事と一緒に生きてきた」

という感じでしょうか、

風化しない想いとともに

今日まで生きてこられたのだろうな

という印象を受けました。

それだけ大切な人との出会いが

あったということだと思いますし、

そういう人との出会いのあった

伊集院さんご自身が魅力的な方

だからこそだとも感じます。

出会った方々から生きる力を

受けてこられたような気がしました。

また、

近くの人がそういう想いをしている

時もとことん寄り添うのではなく

慮って知らんぷりをする

時間が解決するのを待つ

気持ちがわかるからこその振る舞い

のようです。

 

別れをいつまでも悲しんでいては

その人が生きていたこと、

残してくれたことが

いつまでも輝いてきません。

一番最後の一文にあった

『計り知れない喜びをもらったの

だから

さよならがいつか力になると信じよう』

この言葉はグッときました。

 

別れにちなんだお話だったのですが

命のバトンのような

逆に”残された後生きる”ことの意味

のようなことを考えさせられ、

また、励まされたような気持に

なりました。

 

いろいろあった人だからこそ

やさしさにあふれた本だったと

感じました。