2005年TDKは「テープなど記憶媒体事業」から撤退。企業買収戦略で、2023年売上2兆円達成! | think to careerのブログ

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「スゴロクで学ぶユーチューブ』講座の40回目です。

 

今回は、スゴロク解説でなく、「比べてみたら」になります。

 

「比べた」のは、主力製品が素材加工型だった「アイリスオーヤマ・ヨネックス・TDK」です。

 

 

「スゴロクで学ぶユーチューブ講座」の38回目で「アイリスオーヤマ」、39回目で世界的なバトミントンメーカー「ヨネックス」を取り上げました。

 

「アイリスオーヤマ」はプラスチック加工の下請け会社でした。

 

「ヨネックス」は、新潟の小さな木工加工会社でした。

 

今後ユーチューブで取り上げる予定の「TDK」は、1970~80年代にかけてカセットテープで黄金時代を築いた会社です。

 

 

素材加工型製品の市場は構造的に不安定です。

 

新しい素材や技術の登場で、市場が構造的に変化して、市場自体が消えることもあります。

 

「アイリス・ヨネックス・TDK」が、「市場が消えていく状況をどのように打開したか」を比べてみました。

 

 

「アイリスオーヤマ」は、プラスチック製の「真珠養殖用のブイ」や農業用で田植機に必要な「育苗箱」などの製品化で脱下請けに成功します。

 

しかし、「真珠養殖用のブイ事業」は「真珠ブームが終わり需要が減退」します。

 

「育苗箱事業」はオイルショックの影響で大赤字となり、倒産の危機に直面します。

 

新たな事業として、プラスチックの用途展開をはかり、ホームセンター用の植木鉢など園芸品、ペット用品、透明な収納箱の開発で大成功します。

 

いくつも成功実績を積み上げ、いまや家電製品を開発、年商8000億円です。

 

 

ヨネックスは、「漁網用の木製浮き」で成功します。

 

しかし、水に強い「プラスチック製浮き」が登場、木製浮き市場は淘汰されてしまいます。

 

売れる商品を探します。

 

見つけたのが、木製のバトミントンラケットの生産です。

 

ラケット生産の事業は順調でしたが、台湾製の低価格商品が登場します。

 

低価格商品では台湾に勝てないと判断、競技用ラケット生産に事業転換します。

 

 

競技用ラケットは金属製でした。

 

必死の努力で商品開発を行います。

 

イギリスの競技用ラケットに関する特許の壁を破り、アルミ製ラケットで成功します。

 

そして、スポーツメーカーへの展開をはかり、テニスラケット・ゴルフクラブなどの事業で、いまや年商は1000億円をこえています。

 

 

TDKは、磁性材のフェライト開発で誕生した会社です。

 

オープンリール用の録音テープを制作していました。

 

 

1964年、フリップス社がカセットテープを開発、技術を無料で公開します。

 

1968年、TDKはカセットテープを発売します。

 

1979年 ウォークマンの発売で、カセット市場は拡大します。

 

1976年 ビクターがビデオデッキを発売します。

 

1978年 TDKはビデオテープを発売します。

 

 

TDKのテープ事業は好調で、1980年代の初めにごろから売上が毎年20%アップ、営業利益20%超、売上の50%、利益の70%はテープ製品でした。

 

1984年、売上は3500億円を記録します。

 

 

しかし、1982年ソニーとフリップス社が共同開発でCDプレーヤーを発売します。

 

テープを使わない新技術の商品です。

 

CD・DVD用の記録メディアは、製造において製品差別化が困難で、値崩れが起きやすい市場でした。

 

1990年代に入ると、テープ市場は衰退し、CD・DVD市場は価格競争が激しくなります。

 

TDKのテープ・CD・DVDディスクなどの売上・収益が低下します。

 

 

TDKは、2005年テープなどの記憶媒体事業から撤退します。

 

そして、買収戦略による新商品開発で見事に取組み成功します。

 

 

素材加工型の事業は、新素材・新技術の登場で市場が消え去る危険性があります。

 

常に、新素材・新技術に注目する必要がありそうです。

 

 

今回の「比べてみたら」は、素材加工型企業の盛衰をとりあげました。

 

素材加工産業で働く人には、参考になると思います。