中学生を対象に「スゴロク」でキャリア学習を行うと、「サイコロの目の偶然性だけだから、面白くない」といった、大人びた意見がでてきたりします。
このような発言をする生徒に限って、ゲームでビリだったりしますが?
たしかに、この指摘があたっていることも事実です。
「スゴロク」では、サイコロの目の偶然性が勝負に影響します。
ただ、「スゴロク」でも、偶然性だけでなく、「自分の意思決定の要素」を織り込むことができます。
市販の「スゴロク=ボードゲーム」はいろいろ附属のカードがついていますが、これはカードで意思決定の要素を加えているからです。
各種のカードを使っていくと、サイコロの偶然性だけでなく、自らの意思決定の要素を高めたゲームが制作できます。
そのような事例の一つに、私の制作した「営業の仕事」ゲームがあります。
このゲームでは、勝負に影響する意思決定のルールを2つ組み込んでいます。
ルール① 「サイコロカード」で、自分のコマの進み方が決められます。
「営業の仕事」ゲームでは、各プレーヤーは50時間分の「時間カード」をもってゲームを始めます。
マス目に止まるごとに、指定された時間を消費していきます。
コースの途中には、「営業の業務」をテーマにした迷路があります。
サイコロの目によって、何度も同じマス目を行ったり来たりします。
迷路で右往左往して50時間を消費すれば、そこでゲームオーバーです。
この制約条件をクリアするために、サイコロカードを準備しています。
1~6の数字を印刷した6枚のカードがあり、サイコロがわりになります。
どうしても迷路を脱出したいときは、自らの意思決定でこのカードを使います。
ゲーム途中でのゲームオーバーを防ぐには、どのタイミングでサイコロカードを使うか、意思決定が求められます。
ルール② どの得意先にも商品を販売できます。
「営業の仕事」ゲームですから、得意先への商品の販売量で順位を争います。
どの得意先に商品を販売するかは自由で、自分で意思決定できます。
誰もが、どの得意先にも自由に商品を販売できますから、自分がこの店に販売すると決めても、相手も同じ店に販売してくるかもしれません。
あえて、自分の意志で相手の販売を邪魔することもできます。
販売が競合した場合は、誰がその得意先から最も信頼をえたかで決まります。
自分で販売の意思決定をしていきますが、それは他のプレーヤの意思決定の影響を受けるというルールにしています。
このように、サイコロを使っても、意思決定の要素を加えることができます。
「カード」を使ったルールにしていくと、「スゴロク」でも意思決定の醍醐味を味わえるゲームにできます。