あおいとひろみが顔見知りだったということが発端の、思いがけないひろみとの別れが過ぎて、その後はあおいとはより親密に交際するようになった。
あおいはひろみに増して遊び好きな性分で、夜に呼び出されることが何度もあった。
以前、ひろみとは夜の逢引きは、おもに亭主が出張の時ぐらいで、それ以外は昼下がりの情事がたまにある程度だった。

あおいは連チャンで飲みに出ることが度々で、彼女がひろみやさのっちと交遊していた学大のパブスナックに連れ立って行くようにもなった。
その店のスタッフが話すには、彼女は酒好きで焼酎ボトル一本を空けることもあり、酔っ払って前後不覚になり、旦那が迎えに来たことも幾度となくあったそうだ。
あおいの色っぽい容姿からして、酔った彼女に言い寄る男達もいて、女性客からは、彼女への妬みもあってか、まだ中学生の子供がいるのに、連夜、店で酔い痴れていることへの批判もあったらしい。
そして、さのっちも述べていたように、やはり、年配のオジさん連中には見向きもしないで、年下のイケメン系にしか関心を示さなかったあおいが、店内で年上の僕にラブラブになる様子を見て驚きでした、とも言っていた。

仮面妻のひろみも、あおいと同じように男性客には人気があり、さのっちが話してくれた画家とひろみのヌードモデルの件もこの店で起きた事だった。
あおいとひろみは似て非なるところもあるが、男性客にはモテモテだった分、女性客には妬みをかうみたいなところで、似た者同士、仲は良かったようだ。

このパブスナックは、あおいやひろみが30代の頃から通っている彼女達の古巣ともいえる店で、ここのスタッフは全員男性で、生バンドは無いが、カラオケでダンスも踊れるので、ちょっとしたホストクラブぽい感じもする。
そんな雰囲気の店だから、熟女系の女性客も足蹴く来店するので、その女性達を目当てに年配男性も多く訪れる。

たぶん、さのっちも横浜からよく来ていたのも、そんな思惑があったのかもしれない。
彼とひろみはすでに情交しているのは知っているが、あおいにも彼の誘惑が無かったか、聞いてみたら、面白い答えが返ってきた。