昨日この世を去った名も知らぬ君へ。 | クラス・リエゾン こころ教室♪早川菜々  

クラス・リエゾン こころ教室♪早川菜々  

心理相談/学習/教育相談 すべての子どもと大人の幸せのため。サポートのつながりを目指す教室です。
心理セラピスト早川菜々 ホームページ http://therapist7.com

名も知らぬ君へ。
大人か子どもか、男か女かも知らぬ君へ。

死者には意識はなく、痛みも苦しみもないと知っていることだけが、今の私にただ1つの救いです。




あなたが線路に命を捨てた2019年9月2日18時から4時間後の街は、夏休みが明けた月曜日で閑散としていました。

何事もなかったかのように、首都圏近郊の街の電車はダイヤを取り戻そうと走り行きます。

普通の毎日が過ぎていくのでしょうか?
君の命はそんなに儚いものでしょうか!

いいえ。
私には、そうはいかないのです。


君は、どうして飛び込み自殺という手段を取ったのでしょう。

現実から逃げたかったからか
死んで誰かを後悔させたかったからか
なにかの罪悪感で死んで詫びたかったのか
ただプツンと切れて衝動に突き動かされたのか
めくるめく狂気に走ったのか

そのどれにも共通するのは、それ以前の日々が苦痛に満ちていたはずだ、ということ。

自分を破壊するに至るエネルギーを溜め込むほどの苦痛だったはず。


誰か、誰か気づく人はいなかったのですか?
いや、誰にも気づいて欲しくなかったのですか?

その苦痛は、ひとつの命と引き換えにしても良いと思えるくらいの辛いものだったのですよね?

他者を傷つけるくらいなら、自分が損なわれた方がいいと思ったのですか?


名も知らない君だけれど、私には聴きたいことがいっぱいあります。

私の中に残った名も知らぬ君への喪失感が、問わずにいられないのです。

それであれば、君を知る人たちはいかほどばかりに、君を失った絶望を味わうのでしょうか?

生きていて欲しかったと、魂が潰れてしまうほど悲しむのです。


ただ生きていて欲しかったです。

そうすれば、どこかで触れ合うことができたかもしれません。

自分もあと4時間早くその駅に着いていたら、君に気づけたかもしれない、とさえ思うのです。


私の問いに答えて欲しい。
問いに答えるほんの数分間、君の命が伸びただけでも、もしかしたら死ぬことをもう一度考え直してもらえたかもしれないのです。

そうしたら私は、君に語りかけたでしょう。

生きるってすごいことなのですよ。
生きてるだけで本当に賞賛されるべきなのですよ、私たちは。

生きていくのには多くの問いが生まれて
正解がないからこそ自分や他者との問答を繰り返し

生きることを呪ったり
誰かを恨んだり
かすかな希望が生まれたり
それも儚く消えたり
大きく傷つき
何をもっても埋め合わせられず
返す刃で人を傷つけ
その罪悪感に打ちのめされ

死んでしまいたいと思いながら
死んでしまいたいと思いながらも
生きていくのですから。

生きていくと
フッと笑えるようなことに合ったり
音楽や美術や演劇や舞踊や言葉にならないものに慰められたり
自分と同じ経験をしている人と出会えたり
解けないと思っていた問題を緩める出来事が起きたり
ただ美味しいものに元気をもらったり
身体の疲れで心の痛みを忘れる瞬間ができたり
時には悪口や愚痴を言ってもいい仲間ができたり
嫌いな人と好きな人の両方ができたり
失敗したり成功したりやり直したり投げ出したり

いろんな、無限のことが起こるんです。
生きている限り。


名も知らぬ君にはもう、どんな言葉も届きませんね。
ただ無に帰された平安があることでしょう。

でも、君が命を捨てる場所に選んだその街に住む私は、大きな命題を拾ってしまったのですよ。

君の命の大きさに見合う、大きな大きなテーマに向き合うことにしますよ。