今回はロバート・ロドリゲス監督脚本「プラネット・テラー in グラインドハウス」(2007年)をご紹介します。
"3.15.11 - "Grindhouse"" Photo by Movies in LA
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ローズ・マッゴーワン演じるゴーゴーダンサーのチェリーによるセクシーなダンスから始まります(なんて綺麗なんだ!)。
でも彼女は途中から涙するんですね。自分のみじめさに。
チェリーが舞台からはけると、オーナーから「また泣きやがって」と叱られる。
店を出た後も、軍のトラックが荒っぽく走るものだから夜道に躓いて泥だらけ。
散々な目に遭ってどん底のチェリーは、たまたま入ったバーベキューハウスで 偶然元カレのレイと再会。
レイはかつてその道ではレジェンドな男で、後でゾンビが町にわんさか現れると率先して戦うんです。
そんな彼がなぜかチェリーに言うんです。
「ずっと強くいろ。 Stay Strong.」。
チェリーは自分をダメな人間と思っているから最初「?」となるんですけど、レイは本当のチェリーを知っていて信じているんですね。
だから「強くいつづけろ」とチェリーを励ますんです。
後にチェリーは、ゾンビに襲われて失った右脚にマシンガンを仕込み(!)、ゾンビ軍団と対決します。
"Rose McGowan in Grindhouse" Photo by Adam Polselli
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(それにしても振り切ってるな…)
ゾンビウィルスの元である町の軍施設でチェリーとダコタ(マリー・シェルトン)が捕まってしまう。
この絶体絶命のピンチで「下水管を下る気分よ」とチェリーがこぼします。
するとダコタが「どん底に落ちたら這い上がるって想像するの」。
チェリーが「這い上がった先に何にもなかったら?」。
ダコタが答える。「…さらに上へ這い上がるのよ」。
ロドリゲスにしても、タランティーノにしても、その作風から誤解されがちですが女性賛美の映画も作ってますよね。
(中でもタランティーノの「ジャッキー・ブラウン」は名作だ)
実は本作もそう。
彼らはカルト的B級映画(風)の体裁をとりながら、そういうメッセージを忘れない。
単なるオタク映画ではないから幅広いファンを獲得している気がします。
"Grindhouse Us poster" Photo by jon rubin
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「グラインドハウス」とは、70年代アメリカで低俗なB級映画を2、3本立てで公開していた映画館とのこと。
ロドリゲスとタランティーノが大好きな世界ですね。
で、架空の映画予告編含めて、ロドリゲスの「プラネット・テラー」とタランティーノの「デス・プルーフ」の2本立てのグラインドハウスを21世紀に公開。
「プラネット・テラー」はロバート・ロドリゲスが大好きなゾンビものです。
全編、フィルムに雨を降らせて劣化している風に加工していたり、途中、フィルムが焦げちゃうアクシデントが起きて中断というテイになるとか、とにかくディテールに凝っています。
こだわりもここまでくると変態(※褒め言葉です)ですが、これだけ好きなことがあるって羨ましいですね。
お話はあってないようなものです。
ひたすら荒唐無稽で映像化をためらうネタを扱うのがグラインドハウス。
大好きな世界をマニアックに作ったロバート・ロドリゲス。
1つの作風にしているところが凄いですね。
笑っていいのか、いかんのか悩みます。
とは言え、あまりにグラインドハウスゆえに、ぶっ飛び過ぎる過激なタブー表現に個人的には胃もたれかな。
そういうわけで、もう1本の「デス・プルーフ inグラインドハウス」は観ないだろうなぁ…。