今回はスーパーマンの起源をザック・スナイダー監督がリブートした「マン・オブ・スティール」(2013年)。
"Man of Steel One Sheet Image" Photo by SITS Girls
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惑星クリプトン。ゾッド将軍(マイケル・シャノン)が反乱を企てるも失敗し、3名の戦士はファントム・ゾーンに幽閉されます。
一方、クリプトンは限界が来ていた。
爆発寸前のクリプトンからジョー=エル(ラッセル・クロウ)は息子のカル=エルを地球に逃がします。
"(52) Henry Cavill and the Cavillry17" Photo by HenryCavillandtheCavillry
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地球に不時着した幼きカル=エルはジョナサン(ケビン・コスナー)とマーサ(ダイアン・レイン)のケント夫妻に引き取られてクラーク・ケントとして育てられます。
少年クラークは特殊能力を人助けに使いますが、ジョナサンは能力を隠せ、でないと怖れられて排除されちゃうよ、と注意します。
クラークはずっと周りは受け入れてくれない疎外感と「自分は何者でもない」という虚無感を抱いています。
悩める愛息にジョナサンは「自分の存在意義を探せ」と勧めるんですね。
ジョナサンの死後、クラーク(ヘンリー・カヴィル)は徒歩で旅に出ます。
善良ゆえに見て見ぬふりができず、各地で人助けをしては姿をくらますクラーク。
"(52) Henry Cavill and the Cavillry31" Photo by HenryCavillandtheCavillry
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人は大切な、大きな何かを得るにはリスク込みの心の旅をするもの。
クラークはスーパーマンというアイデンティティを見つけ、地球での違和感の元=特殊能力を人助けに使う。
一方、クリプトン星は爆発した衝撃波でファントム・ゾーンからゾッド将軍達が逃亡。
3人は地球に来て、 ジョー=エルへの復讐として息子のクラークを襲う…というお話。
"(52) Henry Cavill and the Cavillry59" Photo by HenryCavillandtheCavillry
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スーパーマンは人助けをして人々から感謝されますが、同時にその特殊能力とパワーを「人類の敵になったら?」と危険視されます。
リチャード・ドナー版はこの辺をあっさり描いていますが、本作はしっかり描きます。
クラークは悩み、怒り、悲しみ、傷つく。そういうナイーブで生身の存在というリアリズム。
これも時代性で、本作はスーパーマン現代的解釈版ですね。
とは言え、現代の神話的要素はしっかりあります。
異世界から使命を帯びた人間以上の存在が人類を助けるために奮闘する、良心にまつわる神話です。
現代は神話を失った時代です。
「スター・ウォーズ」もそうですが、神話とは生身の人間が苦難の人生を生きる指針であり、倫理観の源。
思うにそういう意味合いがあるんですね。
"(52) Henry Cavill and the Cavillry13" Photo by HenryCavillandtheCavillry
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葛藤して、悩み傷つくクラークの救いとは、ロイス・レイン(エイミー・アダムス)との出会い。
本作のロイスはリチャード・ドナー版でマーゴット・ギターが演じたお転婆娘ではなく母性的な女性です。
孤独で傷つきやすいクラークを包み込むようなひととして描かれています。
養母マーサもクラークをすべて受容する女性。
クラークの悩みを解決するのは賢くて善良な女性の愛なんです。
「自己侮蔑という男子の病には、賢い女性に愛されることが最も確かな治療法である」
~ニーチェ