スウィージーの批判
資本の有機的構成がいかに大となったとしても、有機的構成(c/v)の上昇に伴う労働生産性の上昇の結果、搾取率(m/v)がそれを相殺するほどに上昇したとすれば利潤率は必ずしも低下しない。⁽¹⁾
ロビンソンの批判
有効需要不足に触れていない。⁽²⁾
搾取率が不変ならば、生産力の上昇に伴って実質賃金率も上がるはずであるが、実質賃金率の上昇について論じていない。⁽³⁾
一般的に指摘されている点
1.資本の有機的構成(c/v)が高度化するとしても、生産力の発展に伴う剰余価値率の上昇には理論的な限界はないのだから、必ず利潤率が低下するとは言えない。⁽⁴⁾
2.生産力が発展するにつれて不変資本の諸要素が低廉化するので、資本の有機的構成は必ずしも高度化するとは言えない。⁽⁵⁾
3.個別資本は利潤率を低下させるような新技術を採用することはないのだから、社会的資本についても、新技術の採用が利潤率の低下をさせることはありえない。⁽⁶⁾
これらへの反批判
1.v+mの総量が利潤量増大の限界なので、これが利潤率の限界になる。
過去の労働である旧価値cと生きた労働の新価値v+mの価値成分の比率を資本の新旧価値構成と考え、新価値をNとして価値の比率であるN/cをとり、これを新価値率と呼びn’とすると、資本の新旧価値構成の高度化はn’の減少によって表現される。⁽⁷⁾
資本の有機的構成の高度化が生じると資本の新旧価値構成が高度化するので、n’は低下する。
利潤率よりも新価値率のほうが大きいので利潤率は新価値率を超えることができず、ここに利潤率の限界がある。⁽⁸⁾(=上限低下論)
利潤率r=m/(c+v)<(v+m)/c=N/c=n'
2. 不変資本の諸要素の低廉化は、生産物価値を低下させるような新技術が一般化した時にはじめて生じるものであって、それまでの期間にも資本構成の高度化は進行している。
不変資本の諸要素の低廉化は資本構成の高度化を直接に妨げるものではなく、進行の速度を和らげるものでしかない。⁽⁹⁾
3.個別資本が新技術を用いて不変資本を節約し、部門内での超過利潤を得ようとするが、部門内で新技術が一般化すれば個別の超過利潤は消滅し、利潤が低下する。⁽¹⁰⁾
参考文献
(1)置塩信雄 『マルクス経済学Ⅱ』 筑摩書房 p162
(2)J・ロビンソン 『マルクス経済学』 有斐閣 p50
(3)J・ロビンソン 『マルクス経済学』 有斐閣 p51
(4)大谷禎之介 『図解 社会経済学』 桜井書店 p328
(5)大谷禎之介 『図解 社会経済学』 桜井書店 p328
(6)大谷禎之介 『図解 社会経済学』 桜井書店 p328
(7)大谷禎之介 『図解 社会経済学』 桜井書店 p329
(8)大谷禎之介 『図解 社会経済学』 桜井書店 p330
(9)大谷禎之介 『図解 社会経済学』 桜井書店 p331-p333
(10)大谷禎之介 『図解 社会経済学』 桜井書店 p333
執筆:橋本