このブログは死ブログじゃないよ。休ブログだよ。
(死火山、休火山的な感じで)
みんな、久しぶり。
最後の更新からもうすぐ二年たつね。
では、ある話を投稿して終わりにするよ。
○あるアパートの部屋の話
東北地方のあるアパートにとある大学生が越して来た。
彼のアパートは海に近い坂の上にある。
アパートにはワカメの養殖も行う元気なおばあさん大家さんがいた。
その大学生の部屋は6畳一間の和室で家賃は月1万円ちょっとと格安であった。
「見た目はボロボロで築30年以上たってもこのアパートは崩れたりしないよ!!大工だった死んだ旦那が特殊な設計して造ったから、前に来た大地震でもヒビ一つできなかったよ。前に住んでた学生のお父さんが設計士で「これは素晴らしい建物だ。」って言ってくれたから安心して住みな。」と大家さんは言ったが、見た目はやっぱりボロだった。
部屋の番号は「13号室」。
西洋人だったら気にしてしまうかもしれないが、純日本人である彼は全く気にならなかった。
大学生の彼はその部屋での初めての一人暮らし生活をとても楽しみにしていた。
新居に入って数日後、春休みが終わり、実家暮らしからアパートの住人である先輩達が帰ってきた。
アパートに越してきた彼はその先輩方に挨拶しに行った。
先輩たちの中に部活の先輩が2人いたため、挨拶はすんなり行うことが出来た。
彼は“13号室”の向かいの部屋に住む先輩とも話をした。
“13号室”の向かいの先輩がこんな事を言った。
「“13号室”の住人って毎年入れ替わるんだよな・・・・」
その先輩によるとどうやら“13号室”の住人は誰も1年で部屋を出て行く羽目になるそうだ・・・・本人が望んでいなくても。
前の住人である一つ年上の女の人は元々、親友の女の子と一緒に隣の部屋同士で住んでいたそうだが、親友がある事情で学校を辞める羽目になり、その先輩も一緒にいられなくなったので、“13号室”を出て行ったそうだ。
その前の住人は大学院にいる男の人だったが、越してきて一年でなぜか出て行った。
その前の住人もその前の前の住人もなぜか一年以内に出て行ったという話が先輩たちの間でも代々伝わっていたらしい。
新参者である大学生の彼は先輩からこんなオカルトまがいの話を聞かされたが、実際こんな話はよくありそうなのであまり信じてはいなかった。
その後“13号室”の住人となった彼は先輩の話のことをあまり気にせずに生活していた。
ある日の夜、台所付近で裸足で床をぺたぺたする音を聞く。
またある日はアパート内のいたるところに意味不明なお札が貼ってあるのに気がつく。
またまたある日、“13号室”に遊びに来た友達が急に動かなくなってしまった。後で聞くと、体中にアメーバみたいなものが大量にまとわりついて金縛りになったそうだ。
そんなオカルト的な現象が起きても彼は家を引っ越すことはなかった。
それから数週間後、車で事故を起こして数十万円失っても、車に乗らなくなり、原付に乗るようになって、その原付で転んで崖に落ちても、一緒に同じアパートに入った親友と喧嘩して殺されかけても、その親友が鬱の初期症状だと気づいても、彼は“13号室”を出る気はなかった。
ここまで行くともう意地だった。
意地でもこの部屋に1年以上いると決めた。
そして、そのアパートに入ってからもう少しで一年たつ頃。
春休みだったので彼は実家に帰っていた。
その日もリビングでだらだらとテレビを見ていた。
2011年3月11日14時46分18秒
東日本大震災。
東北から数百キロ離れてるはずなのに大きな揺れがきた。
テレビを見るとあのアパートの近くの家々、友達のアパートが津波で吹き飛ばされる映像が延々と流された。
大家さんにも電話したが、つながらなかった。
数週間後、大学の手配したバスで東北のキャンパスへ向かった。
荒地と化した町を進み、キャンパスへ向かった。
アパートの下の家は吹き飛んでなくなっていた。
あのアパートともおさらばかと感じた。
そして、坂を上り、カーブを曲がると
アパートが無傷で存在した。
手前のアパートはなくなってるのに、あのアパートだけあの日のままで残っていた。
その後、アパートに向かった。
大家さんが迎えてくれた。
大家さんは避難してて無事だった。
自分の部屋である“13号室”に入る。
地震のせいで棚のものが少し落ちていたけど、壊れたものはなかった。
大家さんによると、あんなに大きな揺れがきたのにこのアパートで壊れたものは何もなかったそうだ。
そして、バスに乗って東北を去った。
数日後、大学本部がキャンパス移転を発表した。
東北のキャンパスは無傷だったが、町がなくなったのでやむを得ず関東にあるキャンパスへ移動することになったのだ。
“13号室”で一年以上生活することは出来なくなった・・・毎年の住人のように。
あの部屋のせいで不幸なことが起きたり、地震が起きたとはこれっぽっちも思っていない。
しかし、今も“13号室”は住人がいないまま完璧な姿であの町に建っている。
住もうとする者を拒みながら・・・・・
最後に一言、
「自分が思っているほど、面白いことは都合よく起こったりしない、世界とはつまらないものである。しかし、思いもよらない面白いことが起こるのもこの世界である。」
“世の中は想像以上につまらなく、そして、想像以上に面白い
2011年3月22日 Darth β”
以上また会う日まで
(死火山、休火山的な感じで)
みんな、久しぶり。
最後の更新からもうすぐ二年たつね。
では、ある話を投稿して終わりにするよ。
○あるアパートの部屋の話
東北地方のあるアパートにとある大学生が越して来た。
彼のアパートは海に近い坂の上にある。
アパートにはワカメの養殖も行う元気なおばあさん大家さんがいた。
その大学生の部屋は6畳一間の和室で家賃は月1万円ちょっとと格安であった。
「見た目はボロボロで築30年以上たってもこのアパートは崩れたりしないよ!!大工だった死んだ旦那が特殊な設計して造ったから、前に来た大地震でもヒビ一つできなかったよ。前に住んでた学生のお父さんが設計士で「これは素晴らしい建物だ。」って言ってくれたから安心して住みな。」と大家さんは言ったが、見た目はやっぱりボロだった。
部屋の番号は「13号室」。
西洋人だったら気にしてしまうかもしれないが、純日本人である彼は全く気にならなかった。
大学生の彼はその部屋での初めての一人暮らし生活をとても楽しみにしていた。
新居に入って数日後、春休みが終わり、実家暮らしからアパートの住人である先輩達が帰ってきた。
アパートに越してきた彼はその先輩方に挨拶しに行った。
先輩たちの中に部活の先輩が2人いたため、挨拶はすんなり行うことが出来た。
彼は“13号室”の向かいの部屋に住む先輩とも話をした。
“13号室”の向かいの先輩がこんな事を言った。
「“13号室”の住人って毎年入れ替わるんだよな・・・・」
その先輩によるとどうやら“13号室”の住人は誰も1年で部屋を出て行く羽目になるそうだ・・・・本人が望んでいなくても。
前の住人である一つ年上の女の人は元々、親友の女の子と一緒に隣の部屋同士で住んでいたそうだが、親友がある事情で学校を辞める羽目になり、その先輩も一緒にいられなくなったので、“13号室”を出て行ったそうだ。
その前の住人は大学院にいる男の人だったが、越してきて一年でなぜか出て行った。
その前の住人もその前の前の住人もなぜか一年以内に出て行ったという話が先輩たちの間でも代々伝わっていたらしい。
新参者である大学生の彼は先輩からこんなオカルトまがいの話を聞かされたが、実際こんな話はよくありそうなのであまり信じてはいなかった。
その後“13号室”の住人となった彼は先輩の話のことをあまり気にせずに生活していた。
ある日の夜、台所付近で裸足で床をぺたぺたする音を聞く。
またある日はアパート内のいたるところに意味不明なお札が貼ってあるのに気がつく。
またまたある日、“13号室”に遊びに来た友達が急に動かなくなってしまった。後で聞くと、体中にアメーバみたいなものが大量にまとわりついて金縛りになったそうだ。
そんなオカルト的な現象が起きても彼は家を引っ越すことはなかった。
それから数週間後、車で事故を起こして数十万円失っても、車に乗らなくなり、原付に乗るようになって、その原付で転んで崖に落ちても、一緒に同じアパートに入った親友と喧嘩して殺されかけても、その親友が鬱の初期症状だと気づいても、彼は“13号室”を出る気はなかった。
ここまで行くともう意地だった。
意地でもこの部屋に1年以上いると決めた。
そして、そのアパートに入ってからもう少しで一年たつ頃。
春休みだったので彼は実家に帰っていた。
その日もリビングでだらだらとテレビを見ていた。
2011年3月11日14時46分18秒
東日本大震災。
東北から数百キロ離れてるはずなのに大きな揺れがきた。
テレビを見るとあのアパートの近くの家々、友達のアパートが津波で吹き飛ばされる映像が延々と流された。
大家さんにも電話したが、つながらなかった。
数週間後、大学の手配したバスで東北のキャンパスへ向かった。
荒地と化した町を進み、キャンパスへ向かった。
アパートの下の家は吹き飛んでなくなっていた。
あのアパートともおさらばかと感じた。
そして、坂を上り、カーブを曲がると
アパートが無傷で存在した。
手前のアパートはなくなってるのに、あのアパートだけあの日のままで残っていた。
その後、アパートに向かった。
大家さんが迎えてくれた。
大家さんは避難してて無事だった。
自分の部屋である“13号室”に入る。
地震のせいで棚のものが少し落ちていたけど、壊れたものはなかった。
大家さんによると、あんなに大きな揺れがきたのにこのアパートで壊れたものは何もなかったそうだ。
そして、バスに乗って東北を去った。
数日後、大学本部がキャンパス移転を発表した。
東北のキャンパスは無傷だったが、町がなくなったのでやむを得ず関東にあるキャンパスへ移動することになったのだ。
“13号室”で一年以上生活することは出来なくなった・・・毎年の住人のように。
あの部屋のせいで不幸なことが起きたり、地震が起きたとはこれっぽっちも思っていない。
しかし、今も“13号室”は住人がいないまま完璧な姿であの町に建っている。
住もうとする者を拒みながら・・・・・
最後に一言、
「自分が思っているほど、面白いことは都合よく起こったりしない、世界とはつまらないものである。しかし、思いもよらない面白いことが起こるのもこの世界である。」
“世の中は想像以上につまらなく、そして、想像以上に面白い
2011年3月22日 Darth β”
以上また会う日まで