https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231007/k10014218401000.html

7日朝、栃木県那須町の朝日岳の登山道付近で60代から70代の男女4人が
死亡しているのが見つかり、警察は遭難したとみて詳しい状況を調べています。
7日朝、栃木県那須町の標高1896メートルの朝日岳の登山道付近で男女4人が倒れているのが見つかり、いずれも死亡が確認されました。

6日正午すぎに登山中の男性から「同行している男性が低体温症で動けない」などと110番通報があり、その後、別の登山者からも「滑落した女性がいる。複数の人が動けなくなっている」と通報が寄せられました。

警察と消防によりますと6日は風が強かったため捜索ができず、7日朝になって捜索を行ったところ4人を見つけたということです。

 

4人について警察が調べた結果、
栃木県さくら市の野口誠二さん(69)
宇都宮市の竹石佳子さん(72)
宇都宮市の高津戸トシ子さん(79)
大阪市中央区の医師、木村英二さん(65)と確認されました。

警察によりますと4人は7日午前7時ごろから午前8時ごろにかけて、いずれも登山道付近の3か所で相次いで見つかり、いずれも軽装ではなく登山用の上着を身に着けていたということです。
通報した人はいずれも無事で、最初に通報した男性は亡くなった
4人のうち木村さんと2人で登山をしていたと説明しています。

また、残りの3人は一緒に登山をしていたということです。
警察は4人が遭難したとみて詳しい状況を調べています。

 

朝日岳の登山道の入り口付近にある駐車場を訪れた登山者からは、

6日は風が強く登山をするには危険な天候だったという声が聞かれました。

このうち、兵庫県から訪れていた男性は6日、朝日岳に入ったものの、風が強かったため登頂を諦め、

途中で下山したということです。

この男性は「30年間、登山をしているが、6日はその中でも1、2を争うほどの危険な天候でした。

登山道の途中にある避難小屋には、山頂まで行こうとしていた人がいたので、

『引き返したほうがいい』と言いました」と話していました。

また千葉県から訪れていた女性は、6日午後2時ごろ、登山道の入り口付近の駐車場に、

警察や消防の捜索隊が集まっているのを見たということです。女性は「当時は車の中にいても、

車が揺れているのがわかるほどの強風で、捜索隊も山に入れない状況でした」と話していました。

60年近い登山歴があるという男性は、朝日岳について「岩場もあって那須連山の中では、

危険な山だと思います。紅葉の時期は、軽装で登っている観光客を見ることがありますが、

山の天候は怖いことを知ってほしい」と話していました。

 

風や雨で低体温症になる危険性も 

「山岳医療救助機構」のメンバーで、山で発生する低体温症や高山病などついて詳しい土井理医師は、気温や山の高さなどにかかわらず、風や雨で体温を奪われて低体温症になる危険性を指摘しています。

土井医師は「低体温症は風や雨で体温を奪われることによって、気温が高い夏でも発症し、山の高低にかかわらず対策が必要だ」と指摘しています。

山に登るときは、風や雨から体温を奪われるのを防ぐため、
▼防寒具や雨具
▼アルミシートや簡易テント
▼体温を上げるために特にカロリーの高い、甘いものや炭水化物、例えばようかんのような食べ物
を持って行くよう呼びかけています。

低体温症の対策について土井医師は「強風などの時にはまずは避難小屋に入ったり、持参した防寒具を身につけたりして風を避けることが重要。低体温症の初期症状として、体の中心部の温度が35度から33度ほどになるとガタガタと震え出す。震えは体がまだ体温を作ろうとしている状況なので、回復の見込みがある。このときに体を冷やさないように服の襟元や手首をしっかり密閉し、空気を逃がさないようにして体を冷気から守る。そして、食べ物を食べて体温を上げることが重要。さらに症状が進行すると回復が難しくなるので、初期段階での対応が大切だ」と話していました。