その日、市役所から一通の通知が。
開けてみて、顔が青ざめました。
『メイちゃん保育園落選』。
今流行りの待機児童デビューです。
これには、正直言って、困り果てました。
絵本作家の私たちには産休も育休もありません。
毎日、絵本の〆切との格闘です。
メイちゃんも生後2ヶ月からアトリエにやって来て、
荒波のような怒涛の日々をいっしょに乗り越えてきました。
私たちは夫婦で一枚の絵を描きます。
阿部が背景、吉岡がキャラクター。
どちらも欠ける事ができないので、二人で仕事と育児を行います。
必然的に、制作時間は減るので、あるゆる方法で絵を描くことを覚えました。
「おっぱいをあげる時は、空いてる右手で描く」
「おんぶで歩きながら描く」
「歩行器を押しながら描く」
「童謡を永遠と歌い続けながら描く」
そんな多くの工夫を、ねじりハチマキ巻いて力技で、こなしてきましたが、
それでも仕事は、間に合いません。
夜、家に帰って、メイちゃんを寝かしつけ、再び絵を描きます。
ひと段落して眠ろうかなと思うと、夜泣きモンスターが目覚めます。
結局、徹夜になることも。
もちろん土日はありません。
産まれる前から覚悟はしていたのですが、実際やってみると、
仕事と育児の両立は本当に大変でした。
こんなに切羽詰まった状態は、私達にもメイちゃんにも良くないと思い、
保育園入園を希望したのですが、まさかの落選。
どうしたものか…。
こうして、私達の『保活』が幕を開けたのです。
とほほ。