ミュージカル「NINE/ナイン」@赤坂ACTシアター | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

脚本 アーサー・コピット

作詞・作曲 モーリー・イェストン

演出 藤田俊太郎

出演 城田優/咲妃みゆ/土井ケイト/春野寿美礼/屋比久知奈/前田美波里/エリアンナ/原田薫/すみれ

 

 フェリーニの自伝的映画「8 1/2」(1963年)をもとにしたミュージカル舞台で、初演は1982年。その映画化でダニエル・デイ=ルイス主演「Nine」もありましたね(ミュージカルではないけど)。私はフェリーニのとデイ=ルイスのは観たけど、舞台版を観るのは本作が初めて。

 

 あらすじ→スランプに陥った40歳の映画監督グイド(城田優)は、新作の撮影が迫っているのに構想すら浮かばず苦悩中。そんな彼の周りに現れる8人の女性。結婚生活に悶々としていた妻(咲妃みゆ)は離婚を仄めかし、愛人(土井ケイト)は私オットと別れたからあなたも早くネと迫る。出演オファーを受けた女優(すみれ)は作品に不満で降板。映画プロデューサー(前田美波里)は早く制作しろと催促し、評論家(エリアンナ)は彼の作品を酷評。滞在先のスパのオーナー(原田薫)はそんなグイドを冷静に見つめる。追憶の世界に逃げ込むと、9歳の自分を性に目覚めさせた娼婦(屋比久知奈)が誘惑し、修道女のような母(春野寿美礼)が彼に意見する。終盤、女性たちが彼から去り、映画制作は中止。現実と対峙したグイドは9歳の自分を抹殺して生まれ変わろうとし、傍らには去っていったはずの妻が……終わり。

 

 フェリーニの「8 1/2」というタイトルは、それが彼の8と1/2作目(ひとつは共同監督だったので1/2と数えた)に当たるという意味です。

 ミュージカル「NINE」はそこに音楽とダンスを1/2として加えて「9」とし、グイドが9作品目を生み出そうと苦悩する物語に。また、グイドは母の胎内に9カ月いてから生まれた、グイドは母の9番目の子供9歳のときに愛欲の世界(=本能のままに生きること)を知ったなど、「9」は彼が新しい一歩を踏み出すキーナンバーのね。さらに演出家によれば、彼を取り巻く8人の女性プラス9人目は、グイドであったり観ている自分であったりと解釈できる、私たちも一緒にグイドの再生に絡んでいるのだと。

 

 9歳の時に娼婦と母によって自我を2つに引き裂かれたグイド。自由奔放に生きたい自分と、それは罪だと罰する自分。それがトラウマになっていたけど、過去を葬ることで希望が見えた 妻が彼との離婚を決意するとき「あなたを解き放ってあげる」と歌うように、芸の肥やしとばかりに女たちの間でフラフラしてきたつもりが、実際には女性に縛られていたグイド、独り置き去りにされることで自分の足で立つことを覚えたのか? 果たしてどうなんだろう🤔

 

 開演前や休憩中に波音がずっと聞こえていて、舞台上方のスクリーンには寄せては返す波の映像。グイドの脳裏の奥に残る過去の情景、母の胎内にいたときの記憶のようです。

 映画のセット風景を思わせる舞台美術は、フェリーニが拠点とした撮影所チネチッタをイメージしたらしく、映画監督グイドの小世界そのもの。回り舞台になっていて、回転することでグイドの頭の中で現実と幻想・夢想と追憶がグルグル回っているようでした。最後にようやくその渦から抜け出るという隠喩も感じさせる、秀逸な美術👍

 演出家は、多言語であること、映画と演劇の境界を飛び越えることを目指したと言っていて、例えば、歌が日本語のほか英語、イタリア語、スペイン語などで歌われたり、セリフが日本語から急に他言語になったりと、びっくりでした。上方のスクリーンにはその和訳が出たり役者の顔のアップが映されたりと確かに映画っぽい。こうした演出に特に違和感はなかったものの、効果がどれだけあったかは疑問だったな💦

 

 城田くんは若いこともあって、グイドの持つ年齢の重み、そこからくる生活の疲れみたいなのは感じなかったのと、もう少しチャランポランな危うさ、軽やかなプレイボーイっぷりがあると良かったかも。割と真面目な感じだった。でも、女たちの中で揺れ動き(だってみんなを愛してるから!😊)娼婦や母の記憶から逃げられずに頭を抱えちゃう、カサノヴァであり9歳の少年のままでもある、繊細な心の表現は巧みです🎊  終盤、孤独と哀しみの中で崩れ泣くあたりが城田くんの役者としての真骨頂。それにしてもあのルックスと身体ゆえ、8人の個性的な女性たちの真ん中で圧倒的存在感と華を示せるのはサスガ〜😍

 

 妻を演じた咲妃みゆがジンワリ良かったな。母性ある妻と芯の通った女というキャラ作りが上手くて、最後までグイドを愛しているんだと分かりました。

 娼婦の屋比久知奈が期待通りのインパクト。あの退廃感、スレた感じ、怪しげな危なさ……9歳の少年がとろけるのも納得ぅ〜😆  屋比久さん今後も期待大だわ。

 美波里さんとエリアンナのコンビが良いアクセントになっていました。ただ、エリアンナは演技も歌もできるのにちょい役すぎてもったいなかったな😞  一方、美波里さんは登場するたびにスターオーラを撒き散らし舞台をギュッと引き締める。

 でもって、大女優でグイドのミューズという大事な役どころのすみれ歌はいいけど日本語のセリフが全然ダメ😑  芝居になっていない、演技ができていない😡  まぁ、危惧していた通りではあったんだけど、それが唯一の残念点でした。

 

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