「ハムレット」@シアターコクーン | 明日もシアター日和
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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

作 ウィリアム・シェイクスピア

演出 サイモン・ゴドウィン

出演 岡田将生/黒木華/福井貴一/山崎一/松雪泰子/竪山隼太/青柳翔/村上虹郎/冨岡弘

 

 演出のサイモン・ゴドウィンは日本でもNTLive上映が決まっている「アントニーとクレオパトラ」(withレイフ・ファインズ)を演出した人で、これは昨年ロンドンに行った時に観たんだけど、手堅い演出で舞台美術も視覚的効果があり面白かった。日本での演出はこれが初めてですが、期待通り見応えがありました🎉

 ちょこちょこ面白い解釈もありナルホドと思ったり、ええー?と思ったりしたけど、度はずれな演出はしていなくて、人と人とのつながりを割と強調していたかなと思います。たとえば、亡霊シーンでの別れ際にハムレットと亡霊は手を繋ぐ。霊と触れ合うってありえないわけだけど、気持ちの中で必ず復讐をすると父に誓ったのかなと。

 イングランドに送られる途中でハムレットとフォーティンブラスが一瞬見つめ合うのも、距離を考えれば不可能だけど、ハムレットが自分の死後フォーティンブラスにデンマークを任せることの伏線に感じられる。また、ハムレットとホレイシオの友情は剣の試合のところでスカーフを使い象徴的に見せていました。まあ、ちょっとわざとらしいけどね😓

 一方、寝室での一件のあと、ガートルードがクローディアスを不審な目で見つめ少しずつ後退っていくところがあって、2人の関係にできた溝を見せていました。

 ポローニアス親子3人のシーンは家族の温かさあふれる良いシーンで、ポローニアスは娘オフィーリアを本当に愛しているからこそハムレットとの恋を禁止したんだと思える。この家族の仲むつまじさが強調されているため、後半の一家の悲劇が際立ちます😥  そのオフィーリアとハムレットとの関係なんだけど、どういうわけか相思相愛に思えなかったなー🤔  ハムレットは墓場で彼女の屍体を見たとき、初めて彼女への愛に気づいたように見えました😑

 

 岡田将生ハムレットは予想を超える良さ👏  彼を観るのは2014年「皆既食」以来だけど、随分上手くなったなー(上から目線😅)。感情を乗せたセリフ回しは良かったし、独白も心の内を外に伝えるものになっていた。最初から両手首に血の滲んだ包帯を巻いていて、自殺願望があるみたい。「生きるべきか……」の独白はベルトで作った輪に頭を突っ込み今にも首を吊りそうな状態でやるんですよ、びっくり😱  もともと精神が壊れている青年という造形です。一方、ポローニアスやクローディアスとのやりとではハイテンションになるから(ポローニアスを殺害した時も躁状態だったし🙁)、他の方も言及しているように、双極性障害の傾向があるっぽい。そのエキセントリックな部分が彼のイケメンカッコ良い美ビジュアルと重なって不思議な魅力になっていました💓  いろんなことが思い通りにならなくて、不満のはけ口を探してイライラしている、まさに現代の若者ハムレットかな。母との関係ではよくあるマザコンや近親相姦という暗示はなく、岡田ハムレットの場合は父への尊敬と愛……以上の崇拝に近いものを感じました。

 

 オフィーリアは割とオーソドックスな造形だったな。可憐で素直で弱くて貞節で(たぶん)ハムレットを一途に愛している。黒木華はそういうオフィーリアとしてぴったりだったし✨ セリフもとても良い。狂ってから、それまでの抑圧から解放され、自分の気持ちを自分の言葉でしゃべれるようになるところ、哀れさを誘います😭  このとき、摘んできた野の花を王たちに手渡すんだけど、なんと花の代わりに自分の髪の毛をむしり抜いて渡すの、おぞましかったー🙀  実際にそういう狂人もいるかもね。でもそれだと、彼女が花摘みの最中に川に落ちて溺死する悲劇の伏線にならないじゃんと思ったけど、花のつもりで違うものを渡す方が狂ってしまったことが強調されるかも(でも、だからと言って髪の毛って😑)。

 

 福井貴一さんクローディアスと山崎一さんポローニアスが確かな演技で両脇をがっちり固めていました🌟  福井さんの威厳ある佇まいはセクシーでもある(声もね💕)。丁寧な心理描写、それを表現する的確なセリフ回し、耳に心地よいリズム感など、とても良いです。ハムレットの狂気は芝居だと見破った時のかすかな焦り、懺悔を試みるときの真に迫る独白、レアティーズを誘い込んで画策をするときに見せる悪っぽさなど、印象に残りました🎊

 山崎さんの持ち前の軽さととぼけた感じがこの芝居の緩衝材ですね(ジュリアス・シーザーのセリフを練習しているとこ笑った。演出が細かい😆)。忠実な臣下としての鋭い眼光を時々見せつつも、愚かでお節介な中年という憎めない感じが何か切なかった(殺されちゃうから😢)

 あと、ホレイシオの竪山隼太がとても良かった👏  基礎ができているクリアな発声、言葉がきちんと伝わる確かなセリフ回し、動きは少しおとなしかったけど、誠実で冷静、ハムレットが心を許した唯一の親友であり語り部でもあるこの役をきっちり演じていたと思う。「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」(ハムレットが手紙を書き換えて殺させた😖)と聞いて、一瞬ハムレットから顔を背けショックで顔を硬直させたとき、彼の人柄が感じられたな。

 

 舞台美術ですが、回り舞台の上に北欧(デンマーク)をイメージさせる木組みの建物が立ち、いくつかの面にシーン別のセットが組まれていて、それを回してスマートにシーン転換。建物の中央に高い塔があって亡霊が現れたり上階の部屋になったり、また墓掘りシーンではセリが下に開いたりと、舞台空間の高低を上手く使っていました。

 照明も良くて、客席に向けたスポットライトを移動させて亡霊が横切る様子を連想させたり、塔を象徴的に青白く照らしたり、他の人がセリフを言っている時に別の人物を照らして表情を浮き上がらせたりと、やや説明的な感じはしたけど、よく考えられていると思いました。

 

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