「ナイツ・テイル」ー騎士物語ー @帝国劇場 | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。


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原作 ジェフリー・チョーサー/ジョン・フレッチャー&ウィリアム・シェイクスピア

脚本/演出 ジョン・ケアード

出演 井上芳雄/堂本光一/音月桂/島田歌穂/岸祐二/大澄賢也/上白石萌音

 

 シェイクスピアとジョン・フレッチャーが共作した「二人の貴公子」をジョン・ケアードがダンス・ミュージカルにするって、そこに芳雄くんと堂本さんが出るって、期待度マックスキャッ しかも超良席 笑 見終わって、大きく誤解していたことが判明しましたQueenly「二人の…」を元にしているけど、結末を含め、大幅に改変してありましたびっくり

 具体的に言えば、「二人の…」では、エミーリア(大公ではなくヒポリタの妹!!)を巡る決闘でアーサイトがパラモンを倒すんだけど、アーサイトはその直後に暴れ馬から落ち がっかり パラモンにエミーリアを譲る遺言を残してアーサイト死亡叫び →パラモンとエミーリア結婚 Queenly パラモンを想う牢番の娘(エミーリアの幼馴染ではない!!)は失恋で気が触れ、彼女を慕う別の男がパラモンのふりをして結婚してしまうショックという、トンデモ結末青ざめ顔

 それが本作では、アーサイトはエミーリアと結ばれハート パラモンは牢番の娘への愛に気づいて結ばれハート その牢番の娘も、実はエミーリアの幼馴染で高貴な出だったことがわかり、2人の身分の差も解消(こういう改作版は17世紀にダヴェナントも作ったらしい)。さらにケアード氏は、意思が無視され「戦勝品」として扱われるだけの女性を現代風に書き変え、家族の再会(ヒポリタと妹たち)を盛り込み、シェイクスピアの祝祭劇風テイストを加えていましたパチパチ

 

 だからこれは、シェイクスピアの「二人の貴公子」のミュージカル版ではない。音楽・歌詞のゴードン氏が言うように「素材に自由に手を入れ独自の作品を作り上げた」もの。そうと分かって観れば、いや〜、楽しかったクラッカー 芝居、ダンス、歌(歌い上げるような、印象に残る曲は特になかったけど苦笑い)に見応えがあり、美術や照明もうまくマッチ、シリアスな中にコメディーの要素が入っていて、良質のエンターテインメント作品になっていましたぁahaha*

 空虚なプライドや闘争心と名誉に執着する男性たちと、物事の本質を見つめ現実的でより良い解決方法をさぐる女性たちとの対比も明確。女性たちの「女性の才能とウィットを使って男たちが馬鹿馬鹿しい戦いをするのを止めましょう」「知識と常識の女神が支配する世界を」と言うセリフがカッコいいです。

 

 芳雄くんのミュージカルは昨年冬の「ダディ……」以来だけど、やっぱり正統派ミュージカル俳優だワと再認識しました きらきら 伸びやかな声(歌声もセリフも)はますます研ぎ澄まされ帝劇の空間に響き渡るらぶ1 歌詞がセリフになっているという意味で歌が圧倒的に上手い。今までもそう感じていたけど、改めて納得ですきゃー

 芳雄くん演じるパラモンには陰り(ちょっと哀愁を背負っている)があり、理想と現実の間で本来の自分を探しているキャラ。最初にエミーリアを目に止めたときの芳雄くんは「美しいもの」を崇めるような表情だった(堂本さんは、彼女を見た途端に一目惚れしたキラキラ笑顔だったネ笑顔)。エミーリアを愛していると言ったときはアーサイトへの対抗心が明らかに出ていて、その後もエミーリアを見つめる眼差しは恋する男の表情ではなく、崇高な存在を遠くから見つめる目のままだった感じ。

 一方で、牢番の娘に対する不思議な感情が何なのか(それこそ恋心なんだけど)を手探りで確かめていく過程も良かったです。彼女を見る目が、最初は好奇心のある凝視から、最後にそれが温かい眼差しに変わっていく、それがよくわかりましたうっとり

 ストプレに出る芳雄くんに対しては、アウェイであることを承知で、厳しい見方をしてきたけれど土下座 今回観ると、そこで経験してきたことが確実に血肉になっていると感じました。歌やセリフのない時でも繊細な演技をしていて、もちろん今までもそうだったけど、ミュージカル風のパターン化された仕草が薄れ、役柄やプロットやシーンと自然に馴染んでいたのでした。やはり、ストプレという畑の違う役者さんや演出家と仕事をするのって大事だと思った。

 

 堂本さんの舞台を観るのは初めてです(映像でも観たことない)。基本、芳雄くんにロックオンして観ていたのですがニコ 堂本さんはさすがにスターとしてのオーラが半端ではなく、目が釘付けになる時がしばしば驚き顔 アーサイトは自分の感情に素直で目的を持ってまっすぐに行動する青年で、そのイメージにぴったり。ダンスや立ち回りのキレは期待に違わず、その勢いのある動き自体、逡巡しない一途な役柄と合っていました。ライバル心あらわにいちいち突っかかってくる苦笑いパラモンを、時になだめ、時に挑戦相手になり、時に無視し、というところは、彼のほうが少しお兄さん役なのかもと思ったり。

 2人とも、騎士としてのプライド、名誉を重んじる高潔さ、そのために死を恐れない崇高さなどを、美しい所作で見せていて、でも、そのために2人が競い合うところがコミカルになって面白いきゃぁ~ デュエットは、芳雄くんが高音パート、堂本さんが低音パートでハモる形で、2人の声質をうまく引き出していると思いました音符

 

 ほかの出演者の感想を書ききれなくなってしまったけど、岸さんと歌穂さんの、舞台を占める存在感が素晴らしくて、でも歌を聞かせるシーンが少なくてもったいなかったな凹 あと、東京バレエ団を退団した松野くんがアンサンブルで出ていて、鹿狩りシーンでの雄鹿の役、目の覚めるジャンプとステップを見せてくれて、ちょっと懐かしかったクラッカー右から

 舞台美術は、鳥の巣をイメージしたらしい。中央が編み込まれ、そこから枝が四方に伸びるようなデザインは地母神とか生命力とかを感じさせました。衣装や音楽はヨーロッパと日本の融合ということで、以前のケアード氏演出のストプレ「ハムレット」よりも違和感はなかったです冷や汗 兵士や騎士は日本の戦国の武将を思わせる甲冑姿、殺陣は日本の刀を持った戦いぶり、戦闘時の音楽は和太鼓、津軽三味線、笛がメインで、かなりカッコよかったな剣 殺されるときに真紅の布が翻ったり、背中の旗をもぎ取られたりという象徴的な演出も良かったです。セリフや歌詞の翻訳はケアード氏の奥さんだからこそ、十分コミュニケーションをとって練ったとは思いますが、韻文っぽさや語数制限のためか、日本語としてぎこちないときがあったのが少し残念。

 

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