コミュニケ代表の田中です。
リーディング・レポート、第3回(最終回)の模様をお届けします。

 

ちなみにこの日の参加者は以下の通り(敬称略)
作家:田中寛人、菊池祐児、早川貴久、関野翔太
演出:川口典成
俳優:内海詩野、乙津、小磯一斉、昆野
プロデューサー(兼 代役):類家

 

第3回はリーディングの進行を演出の川口典成さんにお願いしました。
このリーディングが終われば次からは稽古、演出家と俳優のターンです。
作家が書きたかったことを、果たして演出家と俳優はどう感じ取ったのでしょうか。

 

以下、本編をお楽しみください。

 

目次
田中 寛人『さよならは夜明け前に』
菊池 祐児『たまたまあはれ』
早川 貴久『上演禁止シリーズ②「人生の楽園」』
関野 翔太『灯り』
kaivz『F』

 

* * *

田中 寛人『さよならは夜明け前に』

川口典成 作家の想定している配役があるのですが、作品ごとにキャラクターが被っているケースが多いと思ってまして。例えば川口龍さんがニュートラルな役割、小磯さんがトリックスター的な役割が多いのですが、1作品ぐらいは逆にしないとお客さんも俳優さんも楽しくないかなと思うので、それは現場で稽古を進めながら決めたいと思っています。
まず今日は作家が想定した配役で読んでみましょう。

 

そして作家が指定した配役でリーディングを進めます。
初めは田中寛人・作『さよならは夜明け前に』の第3稿。
配役はの流れは第2稿を踏襲しているものの、第2稿で登場した振り子が削除され、セリフとト書きも大きく変わっています。
果たして演出・俳優はどのような印象を持ったのでしょうか?

 

【講評タイム】

川口典成 かなり宮沢賢治に寄せましたね。

 

田中 前回のリーディングで第1稿と第2稿の折衷で行こうと話していたんですが、第2稿をベースに改稿しました。第2稿で分からないと指摘を受けた情報は第1稿から持ってくるように書き直しています。

 

川口典成 あまり起承転結を意識してないですかね。

 

田中 あまりしてないですね。

 

川口典成 最後に黒板を消すか消さないかを楽しむというか、そこに向けての事象が並べていくということで書かれているのかなと思いました。
上演するうえでいちばん課題になってくるのは「どこにリアリティを置くか」というところだと思うんですが、田中さんにとってこの作品の中でいちばん生きている人は誰ですか?

 

田中 生きている人?

 

川口典成 「生きている」という言葉はいろんな意味で受け取れると思うのですけど、生存しているという意味ではなくて、作家にとっての「生きている人」です。

 

田中 女。次が男ですかね。

 

川口典成 男と女のシーンを日常会話のように話してしまうと、全体が少しふわっとしてしまうかなと思ったんですよね。生きているという言葉を「自分の居場所を知っている」という意味で捉えると、少女や先生の方が自分の居場所を分かっているんじゃないかなと思ったんです。

 

田中 ああ、なるほど。

 

川口典成 リアリティをどこに持ってくるかという問題に対して、むしろ男と女の方が死んでいるように見える。死んでいると言うとあれですけど、自分達の居場所が分かっていない人たちとした方が良いのかな。少女と先生のポジショニングから逆に男と女の場所が決まれば、もう少し広がりが出来るのかなと思いました。

 

類家 単純に声に出して読んだ感想なんですけど、男のセリフは会話としてはかなり難しい。このセリフすごい尖ってんなとか、このセリフにこれで返すのかとか。普通の会話として進めるのは難しい。先生と少女の居場所がしっかりすれば、男と女の会話が分からないまま進んでいくのは面白いかな。

 

田中 先生と少女ってわりとはきはき喋るけど、男と女ってぼそぼそ喋るイメージなんですよね。

 

小磯 お互いに見えてないというのは分かるので、それぞれペアでちゃんと色がつけれれば面白い話になると思います。

 

川口典成 先生はどんなイメージで書かれているのですか?

 

田中 銀河鉄道の夜の第三稿に登場するブルカニロ博士のイメージですね。ますむらひろしが漫画で描いてますが、中肉中背の中年男性のイメージです。

 

川口典成 キルトと記憶と黒板をうまく繋げたことで一本筋の通った話にはなったかと思いますね。
あ、さっき聞いた「生きている人」という質問は、言い換えると「血が流れている人」という意味ですね。

 

田中 その意味ですと、先生ですね。

 

川口典成 へー、なるほど。先生、このセリフで血を流すのは大変ですね(笑)

 

* * *

菊池 祐児『たまたまあはれ』

川口典成 菊池さんの方からキャスティングはこの3人でという希望があるのですが、全員シャッフルという案もありまして、とりあえず全員で読んでみようかなと思います。
今日は川口龍さん・小関さんがお休みですので、まず3人を私が決めます。Aを小磯さん、Bを乙津さん、Cを昆野さんお願いします。サイコロを振って読むところは僕が当てますので、当たった人が読んでください。
では読んでみましょう。

 

リーディングは川口典成さんが当てた俳優さんが読み進めます。
前回のような空気椅子で喋るといったことはせず、読み合わせに近い形です。
モノローグはところどころ新しいものに差し変わり、バリエーションが豊かになっています。
中には女子高生の会話調のモノローグも!?

【講評タイム】

川口典成 「君が代」を元に戻したんだ。

 

菊池 そうですね。突き抜けた方がいいかなと思って、戻してみたんですけど。

 

小磯 台本に謎の記号がいっぱい出てきたよ。

 

(一同、笑)

 

菊池 ああ、それ。手帳類図書室(※)というところに行って、女子高生の交換日記を読んだんです。そうしたら、文章をデコりまくっていて「あっ、文字はデコるものなんだ」って気づいて。顔文字とかシールとか貼りまくっていて。

 

川口典成 なるほど。確かに書き方というか、文法が色々とむちゃくちゃで面白いですね。

 

小磯 この「やぐられる」って何でしょう。

 

菊池 矢口真理が……。

 

一同 あー!

 

川口典成 すごいな矢口(笑)

 

小磯 モー娘。から現代用語に(笑)

 

菊池 不名誉ですけどね。

 

昆野 追加したモノローグはぜんぶ手帳類図書室を元にしたんですか?

 

菊池 そのままコピペしているのではなく、書いた人の気持ちになって書くということをしました。そのままコピペはプライバシーの問題でまずいですし、なるべく寄せつつ書いてみたという感じです。

 

川口典成 自分で書いた方がいいと思いますよ。ちなみに全員シャッフルして演じる案の場合は、最初に出てくるABCも全員で演じるのでしょうか?

 

菊池 最初に3人を選んで、そこからABCを割り当てるのを考えてました。

 

川口典成 そういうことか。3人がいいということなんですね。それは人数的に絞りたいということなんですかね?

 

菊池 絞りたいと思っていますね。3人いれば一回は当たると思うので。

 

昆野 誰になるかはわからない。

 

菊池 そうです。今日はこの3人、明日はこの3人、って感じで考えてたんですけど、稽古も大変になると思いますし、そこは演出にお任せしようかなと(苦笑)

 

川口典成 3人を選ぶことさえも偶然ということですね。

 

小磯 完全にランダムか、あるいはランダムのようなものを見せるか、というどちらかですね。

 

菊池 ランダムのようなもの、ですね。

 

内海 冒頭のABCのセリフ、全部覚えないといけないんだ。

 

類家 結構ヘビーですね。

 

川口典成 まあ3人選ぶところが偶然だとしても、書いてあるものを読むのでも良いと思うんですよね。卒業式なわけですから。
サイコロで当てられた役者が読む時は、その役になりきって読むのですか?
あるいは手帳類図書室のお客さんのように、そこにいる人が読むのでしょうか?

 

菊池 書いた人になって、気持ちを込めて読んでもらえばと思っています。

 

内海 前回は空気椅子をしながら元気いっぱい読んだけど、もっとモノローグにフィットした感じで読んだ方が良い?

 

菊池 身体に負荷を与えることで何かが出てくる可能性はあると思うんです。ただ、元気に喋ることでモノローグが一本調子になってしまうこともあると思うので、俳優にお願いする方が面白くなるかなと思ってます。

 

川口典成 もうちょっと菊池さんのイメージを聞いてみたいです。
役になりきるというのは、俳優は与えられたモノローグをその場で読んでスッとその役になりきるのでしょうか。それとも、最初からこのモノローグを知っていた上で読むのでも良いのでしょうか。

 

菊池 モノローグを知っているので良いと思います。
例えば女子高生が「今日の活動記録。2年3組。」と書いている瞬間は、頭の中にはもう書きたいことがあって、それを手を動かしながら書いていると思うんです。だから、書いてあることは知っていていいんじゃないかと思うんです。

 

 

小磯 当てられた人間のビックリをどこまで見せればいいのかな。

 

川口典成 そこですよね。俳優の素の部分が見えたのが面白いのか、そういうところは見せないのか。

 

菊池 そこは見せないで、サイコロで当てられた瞬間にスッと演じるのが面白いかなと。

 

小磯 そうするとサイコロを振ってランダムですというのがお客さんに伝わるのかな。

 

川口典成 そこは神の指令というイメージなんですかね。「このセリフはお前!」と言われたら、やらなくちゃと思うまでもなくスッと演じるという。たどたどしく読むというのも今のところない感じですかね。

 

小磯 偶然に見せかけて読むっていうのは難しいねこれ。

 

菊池 サイコロで決めるということが偶然を見せることにつながっていて、モノローグ自体に偶然性を込める必要はないと思っています。サイコロを振ること自体が偶然。

 

川口典成 俳優は台本を全て覚えていてもいいんでしょうか。それとも台本を見ながら読むというのが大事なんでしょうか。

 

菊池 台本は持っていて欲しいです。最後にお客さんがハッとする展開になるのであればモノローグは覚えていてもいいと思うんですね。そうしないとオチがつきづらいなと。

 

川口 その人の運命とどういう風に向き合うか、その距離感をどの辺に定めればいいか、というのが上演するうえで困難なところだと思うんですね。

 

小磯 全てのセリフが何かに書かれているっていうことなんですかね?

 

菊池 イメージはそうですね。

 

小磯 書いたりPCで打ち込んだり、そういう動作がお客さんに見えてもいいかなって思うんです。何かに書いている人と、何かを読んでいる人、別にできるんじゃないかなと。3人いるんだから。

 

川口典成 あー、なるほど。

 

小磯 いま思いついちゃったから言ったんですが。

 

川口典成 ト書きには「全員台本を持っている」と書いてあるけれども、その意味づけですよね。それがなんなのかっていうところは、俳優との間でコンセンサスを取っておかないといけないですね。

 

小磯 読みながら書くという動きは結構リスキーですからね。

 

※手帳類図書室 https://techorui.jp/
人が記した手帳を読める私設図書館。
東京・参宮橋のギャラリーPicaresque(ピカレスク)内に常設されています。

 

* * *

早川 貴久『上演禁止シリーズ②「人生の楽園」』

※前回と同様、ネタバレ要素を黒塗りにしています。

 

川口典成 はい、それでは次は早川さんのをやってみましょうか。早川さん希望のキャスティングでまず読んでみようと思います。門松龍役の川口龍さんがいらっしゃらないので、類家さん代役をお願いします。

 

類家 はい。

 

早川 の役を追加しているんですが、東出百合地役の方に読んでいただければと思います。

 

川口典成 あとは小関さんが今日はいないので……。

 

早川 菊池くんに読んでもらいます。

 

菊池 !?

 

早川 できるよね?

 

菊池 絶対にやめた方が良いと思います!

 

早川 大丈夫じゃないすか(適当)

 

 

「人生の楽園」のリーディング風景。
リーディングというよりそのまま「人生の楽園」です。
大まかなストーリーは前回と同じですが、細かい点でセリフやト書き、そしてラストが差し変わっています。

【講評タイム】

類家 21分ジャストですね!

 

川口典成 どんなに頑張っても15分の短編劇にはならないと思うんですけど(苦笑)

 

田中 改稿する前より伸びてるゾ。

 

早川 僕なら15分でやります! いや、17分かな。

 

田中 改稿する前より伸びてるゾ。

 

早川 ト書きが増えたんですよ。

 

一同 あー(全員、疑いの目)

 

川口典成 あやつるが最初から出てくる案は割とうまくいっている気がしました。
この前のリーディングでもう少し前から出た方が良いという意見が出て、僕はそうなのかなと思っていたのですが、こっちの方が確かにわかりやすいですね。ドライブがかかってる感じが良いなと。入れ替わるのはあってもいいんじゃないですかね。台本で回収する必要はないとは思いますけど。

 

早川 なんかそうですね。入れ替わろうとは思ってはいるんですけれども、どうしようかなと。

 

川口典成 ショートコントは勝手にやればいいですか。

 

早川 そこはお好きなようにやっていただければ。

 

小磯 乙津さん頷いてるけど大丈夫かな。

 

乙津 面白くなくてもいいんですよね(笑)

 

早川 恥ずかしく滑らなければ何でもいいです(笑)
堂々とやって滑れば「あいつすげーな」ってなるから。やりきったなっていうのが出ればいいです。面白いの期待してるわけではないので。ただそこで起きるやばいコントみたいなのが見れればいいので。

 

川口典成 やばいコントって(笑)

 

早川 面白かったら凄いですけどね。

 

内海 劇中劇はすごく前衛的にやるんですか?

 

早川 最初はそういうイメージだったんですけどそこはお任せします。
小学校の学芸会っていま見たら前衛的だよなっていう、その何とも言えない感じでやってもらえれば嬉しいです。その後に大人が出てきたらまた「人生の楽園」に戻るというイメージです。

 

川口典成 最後のオチはどういうイメージですか?
「あー、そうだったのか」というイメージと、「あー、やっぱりね」というイメージと。

 

早川 どちらでも大丈夫だと思います。あ、でも、ここまだ納得いってないんで変えようかなと思ってます(苦笑)

 

川口典成 どちらでもできそうなので、どっちかなと。

 

早川 そこは演出家のやりたい方向で。

 

内海 麦わらメガネのトークをもっと見たいんですよね。面白いので。

 

早川 ここセリフで「あ、ぶった」って書いてあるんですけど、僕の中では本当に角松がぶっているんですよね。

 

川口典成 やばい人じゃないか(笑)

 

早川 やばい人ですよ! 角松川口龍さんのイメージなんですけど、さんが時折みせる狂気を見せていきたいなと。そこはさんがやってくれると信じています。

 

川口典成 最後どうなるか次第で持っていき方が違うかな。

 

早川 そうですね。最後のシーンは変えないで、どうするかは演出と相談したいと思ってます。
最後はもうひと展開してもいいかなと思ってるんですけど、あやとつるが入れ替わって、ナレーションの東田と百合地も父と母に入れ替わって、話自体がいつのまにかすり替わってるのに門松だけ何も変わらない、という今のラストでも展開はしているのかなと思っています。最初のシーンでも東田が勝手にあやとつるだと決め付けているけど、そこが分かりにくいかなと悩んでいるんですね。

 

川口典成 そこは確かに難しいですね。

 

* * *

関野 翔太『灯り』

川口典成 では関野さんのに行きましょう。途中まで?

 

関野 はい!

 

川口典成 自信満々ですね。では始めからやってみましょう。

 

 

前回の戯曲(1ページ半)をすべて無しにして、一から書き直した関野くん。
物語はオーディション台本で書いた扇風機をめぐる男女の会話の続きです。
しかし台本は6ページまで。まだ未完!?
ト書き「小川が現れる」と書かれたところで終わってしまいます。小川って誰?

【講評タイム】

川口典成 期待感だけが……。では関野さんから説明を(笑)

 

関野 紆余曲折があって、冒頭のオポチュニティの後「こうして旦那はいなくなった」みたいな、よくある展開にしようかなと。場面をぶつ切りにして時系列ごとに見せて行こうと思っています。
前回のリーディングでカップルの死や失踪の話をしたんですが、あまり姿が見えなくて。別に普通でいいなあって。曖昧な状態のゆらゆら動いているところを、分かりやすい状態にしていくのでいいかなっていう。
劇作プレゼンで言っていた目的語がわからない、二人の共通言語で全て通じるっているような、そんな気持ち悪さが見たいというのがあって。その後ろに二人の背景が透けて見えたらいいなと思っています。
なので、最初にイメージしていた「紙風船」よりはもうちょっと分かりづらい。疲れるという人はいるかもしれないけれども、僕はいま聞いていて何かが引っかかる感じがしたので、それを言語化すれば行けそうだなとは思っています。

 

まだ6ページでドヤる関野氏。

 

川口典成 この後ってどうなっていくんですか?

 

関野 この後、扇風機おじさんを出したいなと思っていて。小川電気店のおじさん。小川と香織だけになって、「実は純一には……」っていう話をしようかなと思っているんですけど、ちょっと時系列を飛ばした方が良いのかな。
電気屋さんパターンと浮気パターンの二つを考えていて。電気屋さんパターンは香織と小川が純一の話を語る。浮気パターンは純一に香織の話をさせる、どっちにしようか。
設定は別居が決まっていて、でもまだ別れていない夫婦。香織が出張でシンガポールに行くんですが、戻ってきた時には多分もう一緒に食事する機会はない。多分これが最後の機会。
体裁と自分の感情が噛み合わない感じが見えたらいいなと思っています。

 

川口典成 前回は神様が出てくるて話だったんですが、あれはなくなったんですね。

 

関野 なくなりました。

 

川口典成 基本は日常会話が続いていく。

 

関野 しれっと神様が出てくるということもなしに。普通に日常の空気の中で過去のことを思い出したりする。チラシには「明日の前日譚」と書いたんですが、未来で過去が変容しうるというのは、このあと二人が山下公園で花火を見に行くとか、そういったシーンで見せれば良いなと。
あと、この二人は元セフレです。

 

川口典成 え?

 

関野 セフレから結婚まで行ったんです。

 

川口典成 ……結局、最後まで書いてみないと分からないということですね?

 

関野 はい!


川口典成さん「最後まで書き上げてください。」

 

* * *

kaivz『F』

最後はkaivzさん作『F』です。
(kaivzさんだけ別の日にリーディングを行いました)

 

kaivz 途中でアナウンスが2回入るんですが、こちらで音を流します。

 

川口典成 じゃあ行きます。

 

今回は最後まで書き上げたkaivzさんの『F』をリーディング。
暗闇の中で何かを探索する二人のお話。
ト書きでさまざまなSEが指定されていて、それが折り重なってカオスな状況がより一層加速していきます。

 

【講評タイム】

川口典成 パッと聞いただけだと何の話か分からない(苦笑)
そこは聞いてもいいですか?

 

kaivz 書き直してコンピューターウィルスの方に話を寄せました。前回はスクラップ音とかドリル音とかあったんですが、暗闇の中では怖すぎるなと思って(苦笑)。それで「暗闇の中で体験する箱根湯本の旅」にしました。

 

(一同、笑)

 

内海 行きたくなる感じですね。

 

kaivz 暗闇の中で温泉に連れて行ってもらいたいなと思うんですよ。役者さんに演じてもらうことで。ウイルスの話なんですけど。
ウイルスかどうかを検知するのにサンドボックスという手法があって、仮想環境にウィルスを呼び込んでどう動くか様子を見るものなんですが、客席自体がサンドボックスだったということで終わらせたいです。けど、まだ言葉が足りないんじゃないかなと思っています。

 

川口典成 僕の理解不足も色々あると思うんで、ちゃんと読めばわかるのかな。

 

kaiz 作り手はもちろん考えて作り込むんですけど、お客さんには体感してもらうアトラクションということになれば良いかなと思ってまして。箱根湯本に連れていくというのが一番なんで(笑)

 

川口典成 ウィルス感知と箱根湯本は関係があるんですか?

 

kaivz え、えーと……。

 

川口典成 すいません。聞いておかないと分からないなと思ったもので(笑)
考えてくださいと言われたら考えます。

 

kaivz ウイルスという言葉からの関係はないです。正直な話。
この現実が仮想環境だったらなっていつも思っているんですね。それで、お客さんの生活の中で身近な夢、例えばみんながちょっと幸せになれるものってなんだろう?って考えた時に思いついたのが温泉旅行だったので、それを出してみた感じです。

 

内海 SEでクジラの音がたびたび聴こえてくるのは深度が深まっているというイメージなんですか?

 

kaivz そうですね。

 

内海 鍵の音は?

 

kaivz バックドアのイメージです。このウイルスはトロイの木馬という種類なのですが、トロイの木馬って主にパソコンにバックドアを作るんですね。バックドアって、勝手にインターネット通信に穴を開けるんですよ。それを鍵でガチャっと扉を開けて、空間に穴を開けまくっている感じに重ねているんです。

 

内海 それで鍵なんだ。

 

kaivz 扉を開ける音とどちらが良いか今でも悩んでるんですが、鍵の開ける音の方がけっこう怖いかなと思っていて。改造しちゃったという意味で鍵がバリーンって落ちる音を入れています。
日常にある音でアトラクションを作りたいなと思っているので、私自身が日常の中で「ああっ!」て思う音を使いたくて、それが鍵を落とす音なんです。「あ、落としちゃった!」ってなりますよね、あの音。
なので、それだけを聴くと「あれ、自分が落としたのかな?」ってお客さんが思ってくれるかなって。

 

川口典成 なるほど。

 

kaivz あとは煮るなり焼くなり燃やすなり消すなり好きにしてもらえれば。

 

昆野 悟りはなくなったんですか?

 

kaivz あれ難しすぎて(苦笑)。悟りどうやって開こうかずっと悩んで、途中まで悟り開こうと頑張ってたんですが、最後にそれらしく匂わせるぐらいにしました。悟りが匂うくらいに。

 

川口典成 ありがとうございます。これは細かく読んで後から色々質問させてもらいます。聞かないと分からないことがいっぱいありすぎて(笑)

 

* * *

 

3回目のリーディング・レポートは以上です。
これで5人の作家の書きたいもの・作りたいものが一通り揃いました。
(書き上がってない約1名を除く)

 

ここから上演に向けての稽古が始まります。
しかし、5人の作風は物の見事にバラバラです。
いったいどんな風に稽古が進むのでしょうか?

 

次回より作家による稽古場レポートをお届けします。
本番は9月、みなさまぜひ公演へお越しください。

 

田中 寛人

 

【公演情報】
演劇設計局コミュニケ#2
『きえるもの、のこるもの、こわれるもの』
~5人の劇作家による短編劇集~

9/12(木)~16(月・祝) 東中野 RAFT
前売・当日 2500円

ご予約(こりっち):https://stage.corich.jp/stage/101625
公式サイト:https://communique.work/

脚本:田中寛人 / 菊池祐児(劇団大学ノート) / 関野翔太(劇団カツコ) / Kaivz(無伴奏Δ組曲) / 早川貴久(MICOSHI COMPLEX)
演出:川口典成(ドナルカ・パッカーン)
出演:内海詩野(演劇集団 壺会 / グッドラックカンパニー) / 乙津香里 / 川口龍 / 小磯一斉(タイムリーオフィス) / 小関悠佳 / 昆野祐希