ルイジアナの大学生のBは練習試合を終わって、その後に大学内のカフェテリアで、友人とさわやかに議論を尽くしていた。専門のアジアのことを語り、健やかなる口調で友人と向き合い、笑顔の絶えない議論となっていた。
B:「シンガポールは世界第4位の『国際金融センター』だから、当然アジアの通貨危機の影響を受ける。ところが、GDPの約30%を金融関連で占めているにもかかわらず、被害が少なくすんでいる」
友人:「それは、シンガポール金融通貨庁の規制と審査の厳しさにあった。銀行、証券会社の自己資本比率はほとんどが10%以上。現地の日本の金融機関が『いちいち面倒臭い』と嘆いていたことがあったけど、『あのときの投資審査でチェックされていて助かった』という場面も多々あるよう」
B:「98年7月時点では、周辺国の経済回復が遅れていて、シンガポールの金融機関がかかえる不良債権が膨張しているよう。ただその状況下でも、底値となったアジアの優良金融機関を買収・合併に乗り出しているあたりは、さすがに華僑の血が流れていることをうかがわせる」
脅迫めいた史実に基づく潔白はない。真実に起因する焦燥もない。すこぶる手厚い保険が天から授けられたとしても、生存競争は害意に付し、天譴を覆す。
→Change The Scene→教授を交えた講義の場面へ
教授:「さて、フィリピンのラモス大統領の任期(6年)も終盤に近づいた97年、タイなど周辺国の通貨切り下げで、もともとIMFから支援を受けていたフィリピンまで通貨を切り下げることを余儀なくされました。不良債権は他国と比べて少なかったのですが、そのままでは輸出競争力が落ちてしまうからです」
B:「経済成長が遅かったことが功を奏して、破綻や倒産などの件数は他国より少数でとどまっていますが、この経済危機で国内の失業者が増え、海外出稼ぎ労働者の一時帰国も目立っています」
そこに助手が参入してきて、講義の中枢を絡め取る。ほんわかした居室にべらぼうに高い学生のIQがさらに飛躍し、突飛な天の盃を神に差し出す。
助手:「元映画スターという知名度を生かして、98年5月から政権に就いたエストラダ大統領に、景気回復の手腕が期待されています。フィリピンには、未開発のエネルギー資源の開発や自然破壊など、自国だけにとどまらない課題も多くあります」
→Change The Scene→BとAの家庭で、親子ともどもダイニングで顔を合わせる
Aが不動産鑑定士のことを明るく語り、素っ頓狂な表情を浮かべては、損得を抜きにして事の重要性をおぼろげに透かす。
A:「不動産にかかわる問題を解決する不動産鑑定士。鑑定評価、コンサルティングなど不動産のよろず相談を引き受ける。青山リアルティー・アドバイザーズ株式会社の代表取締役副社長の服部毅さん。不動産開発の仕事から鑑定士へ。あらゆる情報を収集し、鑑定評価。評価の根拠を説明することが大事。不動産の価値判断ができる唯一のプロ」
B:「お父さん、不動産鑑定士の生活と収入としては?」
A:「ライフスタイルに合わせて働ける、自己裁量で高収入を実現できる」
B:「じゃあ、その適性と心構えとしては?」
A:「専門性をみがいて社会に貢献する。その意識が強い人に向いている」
日本では不動産鑑定士への道として、国家試験がある。資格を取る。資格取得後は活躍フィールドは広がっていて、若い人材への期待値も高い。
そんな中で、Aは自分の不動産鑑定士のことだけでなく、宅地建物取引士のことを話し出す。自己保身にすがりつかないボランティア精神を全面に押し出す。
A:「宅地建物取引士の誕生から現在までとして、不動産の適正な取引を行うため、誕生した宅地建物取引士の資格。その役割と仕事としては、不動産業界の基本を熟知する宅地または建物の取引の専門家」
B:「賃貸管理を専門とする宅地建物取引士。正直な対応で大きな信頼をお客さまから獲得する」
A:「そうだな。これは日本のことだが、永幸不動産株式会社の代表取締役の方がいる。不動産の知識ゼロからスタート。大切な資産をオーナーから預かる。お客さまの要望に寄り添う。オーナーと強固な信頼関係を築く。宅建マイスター取得で知識をアップデート。宅建建物取引士の収入は勤務先によってさまざま。営業なら歩合で収入アップも」
B:「適性と心構えとしては?」
A:「人とかかわることが好きなことと、継続的な自己研鑽が重要」