スペインのバルセロナの自宅で、SとWはダイニングでしばらく会話を挟む。
W:「メガバンクグループなど大手銀行は、店舗や人員の縮小をはじめとしたリストラを進めている。低金利局面で利益が減り業務縮小を余儀なくされているから。国内最大の金融集団である三菱UFJフィナンシャルグループ。2018年度からの中期経営計画に取り組み、持続的な成長を目指している。三井住友フィナンシャルグループは2018年グループの呼称を変更、20年には経営理念を新たに策定するなど、時代の変化に対応している」
S:「ほう。みずほは?」
W:「メガバンクグループで『万年3位』のレッテルが定着したのがみずほフィナンシャルグループ。2020年3月期から『次世代金融への転換』を掲げ、生き残りを賭けている。りそなホールディングスは、関東と関西の二拠点に旧都市銀行と地方銀行、第二地銀を子会社に持ち、業界内でも独特の立ち位置を占める銀行グループなの」
S:「そうか。でも、信託銀行の存在感が揺らいでいるように見える」
W:「『信託併営』の銀行として営業展開してきたが、『銀行併営』の信託に変貌するよう要請されている」
新型コロナウイルス感染防止のため、取引先を訪問する対面営業が難しくなっている。地方銀行などではオンライン営業に切り替えるところが増えている。感染防止のためリモートワークが広がり、自宅で仕事をする行員が増加。コロナ終息後の在宅勤務のあり方に関して議論が進んでいる。そして、非接触とDXを後押ししている。銀行はこれを機に利用者をインターネットバンキングにシフトさせようとしている。
W:「私が知る話なんだけど、第二地銀で過去に一年目の新人にひどいパワハラ発言を繰り返していた当時の上司が、今ではその上席執行役員になっている。その第二地銀もレベルが知れているじゃない?」
S:「そんなのがあるのか?」
そんな話をしては銀行業界の光と影を垣間見る。銀行業界と言っても、良い銀行もあれば、当然悪い銀行もある。
W:「銀行業界の今後として、メガバンクグループは銀行・証券・信託を傘下に収めて金融総合サービスを提供しているけど、業容は低迷している。信託とメガの再編はあるのか。地銀再編は地方創生に必要か」
S:「高齢化対応サービスが登場いるな」
W:「うん。それに、給与デジタル払いは実現するか。ブロックチェーンで銀行は変わるか、といったことも」
そうした話題が飛び出すのも今に始まったことではなく、銀行を想うからだろう。
その後、話題はSの化粧品会社へと転換していく。
S:「通信環境が整い、ファンケル、DHCをはじめとする、通販化粧品会社が成熟した。SPAのビジネスモデル、CPOを駆使した販促手法が成功の秘訣だ。そして、元気印のテレビ通販。インターネット通販の動向も」
制度品、一般品と並ぶ、3大流通の訪問販売化粧品も、女性の在宅率の低下で苦戦を強いられている。一方、90年代にはネットワーク販売が急成長した。それから、独立店舗型コスメや九州通販コスメの台頭、ドクターズコスメの台頭、韓国コスメの上陸など、大きく市場が変化している。化粧品は究極の「水商売」。
その他、化粧品会社の組織体制として、商品開発部、マーケティング部、宣伝部、販売促進部、広報部、営業社員、美容部員がある。
Sはなおも付け加える。
S:「中国市場は今後、急成長が予想される。資生堂をはじめとする日本の化粧品会社も、中国進出に意欲を燃やしている。しかし、中国進出への問題点は山積している。資生堂のプレステージ戦略。資生堂のミドル、マス戦略」