それは突然の事件であった。

突如として空から光が差し込み

人々やその他の生物が空高く吸い取られていった。

そして宇宙船なのか何か乗り物のようなものにいったん入れられ

宇宙空間をとび、他の惑星にたどり着いた。

そしてそこでおろされた。

そこは普通に息ができる星で

地球からつれてこられた生物以外は特になにも見当たらない。

地球全体が砂漠になってしまったような惑星であった。

とりあえず安全そうであったが

いつ何が起こるかわからず人々は混乱した。

「地球がのっとられてしまうのだろうか?」

とだれもが不安になった。

そんな心配をしているのもつかの間、

また人々は空に吸い取られた。

地球から吸い取られた時と同様であった。

また何かに乗せられて宇宙空間を飛び、地球におろされた。

これまでどおりの地球であるが

今までよりもずっと清々しい。

環境汚染もストップしていると数値が示していた。

人々は「神がいたのだ」と喚起した。

ただ、ペットショップ経営者や熱帯魚愛好家は

「我々にも飼い主がいたということだな。

水変えする時に魚を別の水槽に移すようなものだ」と言うのだった。


アルフレッド王子はついにマリーローズ姫を発見した。

「なんて美しい方なのだろう!」


王子は隣の国から姫を救うためにやってきた。

この国は100年間眠っている国なのだ。

美しいマリーローズ姫は魔女の魔法により、

糸つむぎの針に塗られた毒針に刺されて殺されるはずであったが、

他の魔女が国全体に魔法をかけ

姫が死ぬ代わりに国が眠りについたというわけである。

これまで何人もの若者がこの国を救うためにやってきたが

魔法を解くことはできなかった。

しかしアルフレッド王子は姫のもとへたどり着いたのである。


王子が姫にみとれていると

姫の麗しい瞳がぱっちり開いた。

寝顔も美しかったが、瞳が輝く顔はさらに美しかった。

王子がぽーっとしていると

姫がその美しい瞳で王子をにらみつけ「何者!?」と叫んだ。

王子は面食らったがどうにか答えた。

「私は隣の国の王子アルフレッドでございます」

姫は失笑した。

「すぐばれるような嘘をよくもぬけぬけと。

隣の国の王子はアルファード王子。」

「アルファードは私の4代前の王子でございました。」

「何をわけのわからないことを」

「わけがわからずとも無理はございません。

あなたは100年もの間眠っていたのですから。」

「なんですって?」

「あなたは魔女の魔法にかけられ100年間眠っていたのですよ。

あなただけではありません。

この国全体が眠り続けていたのです」

「そういえば私は確かここで・・・老婆の糸つむぎに指を刺してしまって・・・

その後の記憶がない・・・。

まさかあの老婆が魔女だったのか。

許せない!

魔女はその後どうなったのです?まだ生きてるの!?」

「魔女は長生きですからねぇ。

しかし私はどこの魔女の仕業か存じ上げません。」

「なぜこのようなことになったのか突き止めなければ!!」

と叫びマリーローズ姫は急に立ち上がり

部屋を飛び出していった。

「寝起きとは思えないほどパワフルだなぁ」

と感心しつつ、アルフレッド王子は姫の後を追いかけていった。


「お父様お母様!ご無事ですか!?」

「マリーローズ!」

100年目に目覚めた王様、お后様とマリーローズ姫は固く抱き合った。

「この国は100年間も眠っていたんですって!

魔女の仕業なんですって!

どこの魔女の仕業かご存知ですか!?」

マリーローズ姫が叫ぶと王様もお后様が目を合わせ、

王様がつぶやくように答えた。

「洞窟の魔女だ」

「洞窟の魔女ですって?わかりました!」

マリーローズ姫はまた飛び出していった。

アルフレッド王子もまた追いかけていった。


白馬に乗って城を飛び出すマリーローズ。

その後を白馬に乗って追いかけるアルフレッド。

行き先は洞窟。


洞窟に到着すると魔女が一人住んでいた。

白馬のふたりが洞窟に現れたときの魔女の驚いた顔といったら!

「マリーローズ!生きていたのか!」

「生きていたのかですって!?あなた私を殺すつもりだったのですね?」

「ああ、そのとおりさ。おまえの存在を祝福していないからね」

「私の存在自体を恨んでいるのか?」

「おまえのことなど恨んでおらんわ。」

「だって祝福していないって。

 魔女は王女の誕生を祝福するではないですか」

「招かれればな」

「招かれれば?」

「祝福の儀に招かれればの話だ」

「祝福の儀には国中の魔女が招かれるはずよ」

「ふん。そういう認識がそなたにはあるのだな」

「そなたには?」

「それともそなたの親にもその認識がありながら

わしがこの国の魔女として認識されていないということなのかもしれんな」

「まさか・・・私が誕生した時の祝福の儀に招かれなかったの?」

「・・・招かれていたらそなたを殺そうとはしない」


今までものすごい勢いで畳み掛けてきたマリーローズが黙ってしまった。

黙っただけではない。

マリーローズの瞳から

大粒の涙がとめどなくこぼれ落ちていた。

そしてマリーローズはその場に座り込み

身体中を震わせてなきながらこう叫んだ。


「ごめんなさい!」


泣きながら彼女は謝り続けた。

「両親の無礼をなんとお詫びしたらよいのか!

申し訳ございませんでした。

魔女にとって大切なお役目である祝福の儀にお招きしなかったとは

あなたをいかに傷つけてしまったことでしょう!」

魔女も涙を流しながら姫のそばに跪いた。

「わしのために涙を流してくださったのはあなたが初めてのお方です。

もう涙をふいて頭を上げてください。

あなたのような方を殺そうとしていたことが悔やまれます。

おそらく他の魔女たちが魔法であなたの命を救ったのでしょう。

死なずに居てくださってよかった。」

アルフレッドもふたりからすっかりもらい泣きしていた。

そんなアルフレッドの様子を見てから姫はこう言った。

「お詫びにと言ってはなんですけれども

 この王子と私の結婚の際には

 祝福の儀で最も私たちに近い席をご用意いたします。

 お越しいただけますか?」

「私のような者をそんな・・・」

「私の命を狙ったからといって、もとはといえば私の親の非常識さが原因です。

 あなたを招かないようなゆがんだことをしていては

 国は100年眠るどころか滅びてしまいます。

 私と彼がこの国を受け継ぐ時にはぜひあなたを最もいい席にお招きしたいのです。

 お詫びの気持ちからだけではございません。

 こうして三人で涙を分かち合った仲だからです。

 他の者がなんと言おうが私があなたをお守りいたします。」

「なんて頼もしいお方なのでしょう!

 喜んで祝福させていただきます」

「祝福の儀ではなくともいつでもお城にお越しください。

 両親にもこちらにお詫びにうかがわせます。

 私もたまにここに遊びに来てもよろしいですか?

 今度は本当に糸つむぎを教えてくださいね。」

「ありがとうございます。美しい姫。」魔女の涙はなかなかとまらなかった。


帰り道、アルフレッドは疑問をぶつけてみた。

「あのぉ、結婚というのは・・・」

「100年目の眠りから覚めたときに目の前に居たのはあなたでした。

そして共に涙しました。

あなたは私の運命の人であり、

喜びや悲しみを分かち合える方なのだと感じたのです。

どうか私の伴侶となってくださいませんか?

あなたの国も私の国もふたりで最高の国にしていきませんか?」

少しはにかみながらにっこりとアルフレッド王子を見つめたマリーローズ姫の笑顔は

最高に美しかった。









文明が芽生えつつある大陸で


大人たちが喧嘩ばかりしていた。


うんざりした子どもたちは


大人たちを置いて近くの小さな島を目指し船旅に出た。


リーダー格の少年たちは船室で


大人たちの二の舞とならないようにくらすにはどうしたらよいのか話し合いを重ねていた。


「誰かが新たな国を倒置しなければならない」


「その誰かを決めるために大人たちはもめてばかりいるんだぞ」


「気ままに暮らせばいいんじゃないのか?」


「それでは大人たちに連れ戻されてしまう」


「大人たちと対等に見られる国を目指すということか?」


「対等ではない。もめずとも平和な国を保つことができるということを


気付かせるのだ。」


「では女神的な存在を国の代表としてはどうか?」




そこへ一人の少年が飛び込んできた。


「甲板で喧嘩が始まった!兄貴たちとめてくれ!」




甲板では小さな子どもたちが泣きながら喧嘩していた。


「お前んちの親父のせいだ~」


「あんなところに帰ったって危ないだけだろ」


「帰りたいよー」


「弱虫ー!」


ホームシックにかかっている子どもたち。


親を恨む子どもたち。


リーダーたちを恨む子どもたち。


みんながそれぞれの理由で泣いて叫んで暴れている。




そこへ美しい声が響いた。


「けんかすると雷がおちるよー」


その声の方をみんなが見た瞬間、


声の主の後方の海に一筋の雷が落ちた。




今まで泣いていた子どもたちは悲鳴をあげて


船室へ戻っていった。




「彼女を女王としよう」


リーダーたちは皆頷いた。




「君、なぜ雷がおちるとわかった?」


「子どもたちが喧嘩していたからじゃないかしら?」


「はぐらかすのはやめてくれ。超能力か?」


「いいえ、気象を学んでいたものですから」


「あなたの名は?」


「ヒミコ」




以来、この国ではお天気お姉さんが平和な毎日をもたらす存在となった。