スドウ店長 | 【asa】晩酌と音楽と小説と日々のブログ。そしてランチョンマットと食器が好き【blackout】

【asa】晩酌と音楽と小説と日々のブログ。そしてランチョンマットと食器が好き【blackout】

酒と音楽と料理と読書と現実逃避と絵空事が大好きなんですが
大体毎晩晩酌で記憶なくしblackoutに陥ります。
翌朝シラフ状態で自分の酩酊時を振り返る為の自分の為の記録。

この店の店長はスドウさんという29歳の男性。甘いマスクをしていたが太っていた。
いつも面倒臭そうなオーラを出していて、機嫌が悪いと怖い。
だからみんな少し怖がってた。
スドウさんも余計な話はしたがらない人だったから、みんなと少し距離あったと思う。
でも長年一緒の子たちは、単なる面倒くさがりで、実際は結構アホな話できる人だと知ってる。


私も最初怖かったけど、ウノさんがスドウさんに絡むのに便乗してるうちに平気になった。
それでもそんなに話が弾む方ではなかったので、たいしたエピソードはない。
スドウさんと他の女の子と飲み行ったとき、挑発を受けた私がおっぱい出して、スドウさんが乳首を箸で取ろうとしていたという話くらい。
二人とも余り記憶なくて、酔っ払うとおんなじ馬鹿なんだねと親近感沸いた思い出。


スドウさんには妻子がいて、子供はまだ小さいと言っていた。
二人で客引き中、貯金の話になった。
子供にかかりだしたから貯金しないとやべーなーみたいなこと言ってた。
貯金ないと不安になるよねと同調すると、お前の貯金なんて精々20〜30万だろと笑われた。
それが少ないという意識もなかったし、なんだか恥ずかしい気持ちになったのを覚えてる。
当時彼は何を支えていたのか、その時の私には想像もつかなかった。


入店して3〜4年、すっかり古株になってた頃。
ある面倒なフリーのお客さんがきた。
どんな人だったかは覚えてないけど、若くて可愛いのつけろと煩かった。
当時私は22歳くらいかな。
あの世界では22歳は若くはない。
23でババアとか言われることもあった。
実際18,9歳の子が何人かついた後に私がつけられた。
文句ばっかり言ってる客を宥めてババアでごめんねー!とか言いながら対応して機嫌取って延長させた。


その客が帰ってからスドウさんに愚痴った。
なんで私つけたの、もっと若くて学生っぽいのが良かったんじゃないの?と。
スドウさんは笑いながら、お前だから延長のタイミングで着けたんだと言っていた。
後日その客が私を指名で帰ってきた。
ほらな、と勝ち誇った顔をしてみせた。
流石だなぁと感心したものだ。


スドウさんとは仲良いとは言えなかったけど、私の事認めてくれていたとは思う。
だから仕事で答えようと思えた。


スドウさんはあの店の一番客持ってた女の子と付き合ってたらしい。
誰も突っ込めないけど知らない人はいない話だった。
その子は27歳で、一人だけ少し年上だったし、他の女の子とは余りつるまない子だった。
後に大井町の店がなくなったとき、スドウさんはその子を連れて他の店に言ったと噂で聞いた。


店を辞めてから数年後の私が28歳くらいの頃、蒲田の飲み屋街を歩いていたら偶然客引きをしてるスドウさんに会った。
スドウさんもびっくりして、出勤?と笑いながら聞いてきた。
違うよ、もうやってないよと笑うと、もう戻ってくんなよと笑い返してくれた。
もう違う世界の人なんだなぁと少し寂しくもあった。