とある外食業界で感じたことです。
ある日、とある全国チェーンのYに食事に行きました。
そこの定番メニューをふつうに注文すると、店員が
「大盛りもできますが」
と言う。
私: 「えっ、タダですか?」
店員: 「いえ、30円増しですが」
私: 「・・・・・・・ いえ、いいです」
何か腑に落ちず、他の接客も見ていると、やはり同じことを言っている。
しかも、
客: 「じゃあ、それでお願いします。」
店員: 「ありがとうございます。」 (以上)
つまり、30円増しの説明がされていない。
この、「タダですか?」って訊かないと黙って30円増しの料金を取る手法。
そんな事言うの、この店だけかなーと思っていると、同じチェーン店の他の店に行っても同じ事がありました。
また、同チェーンの違う店に行くとそれが無かったりするので、全国的にやっている事はないと思いましたが、一部のチェーン店で少しでも売上げを上げるための共有されたノウハウになっているようです。
別に客は常日頃から 「大盛り」 を求めているわけじゃない。あくまで店の都合の半押し売り状態。
違う全国展開している外食チェーンでも同じように 「大盛りもできますが」 と言うところはありますが、ここは当然ながら 「タダ」 です。
本当に 「サービスしてもらった」感 を感じます。
確かに先に書いたように、客は「大盛り」を求めているわけじゃないけど、ここのサービスは 『「タダ」 だから よろしければいかがですか?』 的な思いやりが感じられます。
で、やっぱり、このチェーンは大きく伸びています。
先ほどの 「Y」 と同じ食品で競合する 「S」 は、消費者のニーズをがっちり研究し、いろんな層それぞれにターゲットを絞った商品を揃え、店のレイアウトなんかも工夫したりして伸びています。
本当に、しっかり顧客目線はつかんでいるなぁーと思います。 (正直言うと、味は「Y」の方が美味しいのですが・・・)
それに比して 「Y」 はかなり苦戦。
その業界では草分け的・パイオニア的な存在だったのに今は「S」 と大きく明暗を分けているほか、同じく同様の競合他社にも差をつけられている状態です。
今伸びている 「S」 は 「買い手目線」を十分に研究し自社のサービスに生かす。
片や、業界パイオニアの 「Y」 は、見ようによっては “姑息” と受け取られかねない手法で売上げを取ろうとしながら ・・・・・・・・残念なことに落ち目。
もうかなり言い古されていますが、「ものあまり」 の時代に消費者の選択眼は想像以上にレベルが高くなっている。
そこを真摯に受け止めて“顧客目線”発のサービスを施すか、
「どうすれば少しでもお客からお金を取れるだろうか」という あくまで“売上げ”だけにフォーカスした思考をめぐらせるか、
によって出てくる差の怖さをひしひしと感じました。