今、俺は杉崎と共に職員室の横にある印刷室に居た。他の生徒は皆帰ってしまっており、学校が静まり返っていた。
「こんなことして本当に大丈夫かよ」
「なんとかなるさ。ほら、見つかるから黙っとけ」
職員室では先生が集まり会議を始めていた。幸い印刷室からは声が丸聞こえだった。それに、先生の席も遠いので小声でならバレる心配は無い。
「先生ってのは、なんでこうも声がデカイんだろうな」
杉崎が呟いた言葉に高嶺も心から同意した。こんな所を見られでもしたら悪ふざけでは済まないハズだ。遠くから話の内容が聞けるというほどありがたいものはない。
「さて、もうすでにお知りになっていると思いますが、朝から鈴木先生と連絡がつきません。そして、もう一つ。うちの生徒である細山 明美さんが登校後、失踪してしまいました」
「いつ頃ですか?」
「なんでも、とても早く登校したそうで七時には学校に着いていておかしくないそうです」
バーコード頭の教頭が今日起こったことを質問に答えつつ話す。俺は、また先生がいなくなったのだと思っていたが、二人目は生徒だったようだ。細山といえば女子の中でも一際目を惹く可愛らしい容姿の子だったはず。そんなヤツが失踪とは…。
「細山?おかしいな…」
杉崎が細山の名を聞くとそう呟いた。その呟きに引っ掛かりを覚えた俺は
「なんだよ、何か知ってるのか?」と尋ねた。
「…俺、細山のこと朝に見たんだ」
杉崎は俺にとって悪友という立ち位置だ。しかしながら、以外にも勉強ができる。その理由が、朝に誰よりも早く学校へ来て予習をしているからだ。部活もしていないのに朝の練習に来る生徒よりも早く登校しているくらいだ。
「見たって、朝か?」
「あぁ」
細山は学校に来ていた。
しかし、今は失踪扱いになっている。
…どういうことだ?