日活ロマンポルノの名作。原作は、永井荷風作と言われる『四畳半襖の下張り』。神代監督作品は、自身にとって『赫い髪の女』以来の鑑賞。

 

73分の映画の最重要シーンが、映画中盤の10分以上に亘る宮下順子と江角英明の性交シーン。これが実にいい。裸体のほとんどが布団などで隠れていて、露出度はごく控え目ながら、ポルノ映画はかくあるべしというエロティックを感じさせる。その鍵が「羞恥心」である。件のシーンは、宮下順子演ずる芸者が初見の客と初めて床を共にするという状況なのだが、「恥ずかしい」という言葉を何度も発する。やはりその羞恥心が、性の営みに際して女性に期待される奥ゆかしさであり、男性の心を揺さぶるのだろう。

 

その長回しのシーンの合間に、軍人や太鼓持ちが登場するコミカルなシーンが挿入される。出征する悲壮感を持った軍人が、時間がないからとそれこそ三こすり半的なセックスをしたり、女性の快感は首をくくって死ぬ瞬間のものに近いらしいと、それを体感させようと旦那が太鼓持ちに自殺を強要したりといった、若干ブラックなユーモアなのだが、そうした挿話をはさむことで緩急をつけ、ウェットに流れ過ぎないことが、映画にいい効果を出している。

 

エンディングは唐突。その落ち着きの悪さが、独特の味を醸している。深遠なテーマを扱っているわけではないが、ロマンポルノのルールにのっとって「受ける」映画を作るとこういう作品になるという作品。日活ロマンポルノに興味があれば、外せない作品であろうし、この作品を観れば、そのほかの日活ロマンポルノの作品も観たくなる。

 

★★★★★★ (6/10)

 

『四畳半襖の裏張り』予告編

 

 

 

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