『少年時代』 (1990) 篠田正浩監督 | FLICKS FREAK

FLICKS FREAK

いやぁ、映画って本当にいいもんですね~


テーマ:

 

太平洋戦争も末期、小学5年生の風間進一は東京空襲に備えて富山へ疎開する。そこで進一は級長でガキ大将のタケシと仲良くなる。学校の外では優しいタケシだったが、なぜか学校内では進一を冷たくあしらう。やがてタケシに反目する子供たちがタケシと戦うために結集し、進一は否応なくその争いに巻き込まれて行く。

 

1984年『瀬戸内少年野球団』がひどい出来だった篠田正浩監督の作品。この作品は、毎日映画コンクール日本映画大賞や(個人的にはあまり評価していない)ブルーリボン賞作品賞、(もっと評価していない)日本アカデミー賞作品賞を受賞しているだけに、少しはましなのではという期待を持って観始めた。作品としてのまとまりは随分『瀬戸内少年野球団』よりはよいものの、内容の暗さに観ていてどんどん嫌な気分になる作品だった。

 

暴力の連鎖が何も生まないということは言うまでもないが、いじめっ子を暴力で排除して、そして新たに権力を持った「新いじめっ子」がやはり暴力で他を支配するという映画のどこがいいというのだろう。

 

いじめっ子を羽交い締めにして、そのいじめっ子に追従していた取り巻きに次々と殴らせるシーンは、あさま山荘事件の粛清を思い起こさせる気味の悪いシーンだった。

 

都会から来た進一にすれば、DV夫に近いタケシのツンデレは迷惑以外の何物でもなかったに違いない。表面的には取り入って、学校内ではなるべく平穏に過ごしたいという気持ちはよく分かる(だから、都会から同じく疎開してきた少女が進一を評して「世渡り上手」と半ば揶揄する指摘は当たっている)。であれば、戦争が終結を迎え、進一が東京に戻る際に、タケシが見送りに来ることを喜ぶことはあり得ない。つまり、車窓から身を乗り出して、沿道を走って見送るタケシに手を振るというお約束的に感動的なエンディングも、かなり白けて見てしまった。彼が、久々に母親(篠田監督の実際の細君である岩下志麻)と再会し、その瞬間に東京に戻ることを予期して複雑な表情をするというのも同じく理にかなってない。

 

それでも、最後までは「まあ『瀬戸内少年野球団』よりはよいかな」という気持ちで観ていた。それが、最後の最後でタケシにナチス式敬礼をさせたことには驚いてしまった。映画の途中で、少年たちが戦意高揚映画を観て、ヒトラーに敬礼する映像中の兵隊に合わせて、自然に敬礼をするシーンがあるが、そのリフレインだとすれば、進一は「ミニ・ヒトラー」ということか。実に気味の悪い終わり方だった。

 

井上陽水歌う主題歌のヒットもあり、少年たちが主人公というだけで「日本版スタンド・バイ・ミー」と言われることもあるようだが、そういう人たちは『スタンド・バイ・ミー』を観たことがあるのだろうか。

 

自分にとっては篠田正浩監督との相性の悪さを再確認しただけの作品だった。

 

★★★ (3/10)

 

『少年時代』予告編

 

近年の毎日映画コンクール日本映画大賞受賞作の個人的評価

 

1990年 『少年時代』 ★★★ (3/10)

1991年 『息子』 ★★★★★★★ (7/10)

1992年 『シコふんじゃった。』 ★★★★★★ (6/10)

1993年 『月はどっちに出ている』 ★★★★★★ (6/10)

1994年 『全身小説家』 ★★★★★ (5/10)

1995年 『午後の遺言状』 ★★★★ (4/10)

1996年 『Shall we ダンス?』 ★★★★★★★ (7/10)

1997年 『もののけ姫』 ★★★★★★★ (7/10)

1998年 『愛を乞う人』 ★★★★★ (5/10)

1999年 『鉄道員(ぽっぽや)』 ★★★★★★★ (7/10)

2000年 『顔』 ★★★★★★ (6/10)

2001年 『千と千尋の神隠し』 ★★★★★★ (6/10)

2002年 『たそがれ清兵衛』 ★★★★★★★ (7/10)

2003年 『赤目四十八瀧心中未遂』 ★★★★★ (5/10)

2004年 『血と骨』 ★★★★★ (5/10)

2005年 『パッチギ!』 ★★★★★★★ (7/10)

2006年 『ゆれる』 ★★★★★★★★★ (9/10)

2007年 『それでもボクはやってない』 ★★★★★★★ (7/10)

2008年 『おくりびと』 ★★★★★★★★ (8/10)

2009年 『沈まぬ太陽』 ★★★★★★ (6/10)

2010年 『悪人』 ★★★★★★★★ (8/10)

2011年 『一枚のハガキ』 ★★★★ (4/10)

2012年 『終の信託』 ★★★★★★★ (7/10)

2013年 『舟を編む』 ★★★★★★★ (7/10)

2014年 『私の男』 ★★★★★★★★★ (9/10)

2015年 『恋人たち』 ★★★★★★★ (7/10)

2016年 『シン・ゴジラ』 ★★★★★★ (6/10)

2017年 『花筐/HANAGATAMI』 ★★★ (3/10)

 

 

はったさんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス