『パッドマン 5億人の女性を救った男』 (2018) R・バールキ監督 | FLICKS FREAK

FLICKS FREAK

いやぁ、映画って本当にいいもんですね~


テーマ:

 

インド映画。インド本国や北米では昨年2月に公開され、高い評価を得ていることは知っていたが、侮っていた。これほど面白いとは思わなかった。

 

舞台は2001年のインド。2001年と言えば、それほど遠い過去でもないが、当時、インド女性の市販生理用品の使用率が何パーセントだったか想像できる人は少ないだろう。日本で市販の生理用品以外を使用するとなると、手製の生理用品やディーバカップ(月経カップ)ということになるのだろうが、それら市販の生理用品を使用しない人の割合が(全くイメージはないが)1%以上だとすれば驚いてしまう。それが、2001年当時のインドでは、市販の生理用品を使用している女性はなんとわずか12%。そのほかの女性は、主人公いわく「雑巾にするのもはばかれる汚い布」を使い、映画に登場する医者も「不衛生な布を使うことで病気になる女性が絶えず、死に至ることすらある」という。そして、彼女たちが市販の生理用品を使わない理由は「高価だから」。

 

自分は男性ゆえ、生理用品がいくらになれば、日本での使用率が12%まで落ちるか想像することすら難しいが、もし1個数十円の生理用品が1000円あるいは2000円になれば、あり得るのだろうか。

 

少しググってみると、日本でも1960年代までは、脱脂綿にちり紙を巻いたり使い古しの布を縫ったものを使っていたらしい。アンネ社が「アンネナプキン」を日本で初めて発売したのが、1961年11月。キャッチコピーは「40年間お待たせしました!」というものだったらしい。それはアメリカで紙製ナプキンが販売されてから40年が経っていたからである。つまり2001年のインドは、アメリカに40年遅れた日本から更に40年遅れているということになる。

 

映画の前半(途中インド映画らしく「intermission」の表示が現れるが、2時間20分とインド映画としては短いため、日本での上映は通しで行われる)は、インドと日本の違いに驚かされるのだが、女性の市販生理用品の使用率の低さよりももっと驚かされるのは、男性が生理を口にすることをおぞましいと忌み嫌うその甚だしさ。

 

主人公のラクシュミ(後のニックネームは「パッドマン」)は新婚なのだが(オープニングロールが登場人物の説明的に作られているのが面白い)、愛する新妻が不衛生な布を生理の度に使っていることに驚き、なけなしの金をはたいて生理用ナプキンを買う。最初は、「これテレビのコマーシャルでやっていたものだわ」と喜ぶ妻だったが、その値段が「55ルピー」と知って「そんな高いものを使っていることをお義母さんに知られたら怒られてしまう」と決して受け取ろうとしない。ならば、自分で作って妻に使わせれば、安上がりだし妻も衛生的で安全だろうというのがそもそものきっかけ。

 

それからいろいろ試行錯誤をして...という展開を想像していたのだが、さにあらず。男性が生理用品のことを考えることなど言語道断、悪魔が乗り移っているとまで思われてしまう。妻の家族からは離縁を突き付けられ、妹たちも同じ家に住むことはできないと出て、挙句の果てに村会議の末、村から追放されてしまう。どれほど男が生理について語ることがタブー視されているのかと驚くばかりだった。

 

村を追われたラクシュミはそれでも諦めず、妻のため、そして多くのインド女性のために、安価な生理用ナプキンを作ろうと努力するのが後半。

 

彼は大変な回り道、苦労をしてとうとう手作業レベルで生理用ナプキンを作成する機械を作り上げる。しかし、それで苦労が終わるわけではなかった。彼は製品のテストをしたいのだが、誰も男の彼から生理用ナプキンを受け取ろうとしないのである。

 

途方に暮れるラクシュミに大きな転機が訪れたのは、都会であるデリー出身の女子大生パリ―と出会ったこと。ミュージシャンの彼女は、ラクシュミの住む村を公演旅行で訪れていたのだが、夜に突然生理になり、生理用品を求めて夜開いている薬局を探していてラクシュミと偶然出会う。彼女が生理用品を求めていることを知って、自分の作った生理用ナプキンを渡す。そして次の日、彼女の元を訪れて、その生理用ナプキンは自分が作ったものだと言う。パリ―は早くに母と死別し、都会で、進歩的な父親の手一つで育てられたというインドでは特殊な家庭環境ゆえに、男性が生理について語ることを忌避しなかったというラッキー。

 

その後はパリ―の大活躍があり、ラクシュミの「生理用ナプキン製造機」は大ヒットし、彼は国連に呼ばれてスピーチをし、国からは勲章を授かるという大成功を収める。そして、彼を蔑み追い払った村に、最後は大英雄として帰還するというめでたしめでたしの物語。

 

前半の彼のどん底具合も想像の範囲を越えるものなら、後半の彼の大成功の物語も想像の範囲を越えるもの。そしてそれが実話に基づくというのだから、やはり世界は広いと思ってしまう。

 

難と言えば、「パッドマン」ラクシュミがいい人過ぎること。パリ―は「生理用ナプキン製造機」の特許を取るべきだと進言するが、それは機械を買う人にとってコストがかかることになり、結局は安く生理用ナプキンを人々に提供することにならないと断ってしまう。また、もう一つの難は、パリ―を演じる女優が美し過ぎること。パリ―はラクシュミに心を寄せ、シグナルを送るのだが、一緒に各地を行脚しながらも、結局は(離縁寸前の)妻を思ってなびかない。でき過ぎのストーリー。

 

少々でき過ぎとは言え、それでも掛け値なしに面白いことは保証できる。

 

★★★★★★★ (7/10)

 

『パッドマン 5億人の女性を救った男』予告編

 

インド映画のマイ・ベスト5

 

1. 『ダンガル きっと、つよくなる』 2016年

2. 『きっとうまくいく』 2009年

3. 『地上の星たち』 2007年

4. 『RANG DE BASANTI』 2006年(日本未公開)

5. 『MUNNA BAI M.B.B.S.』 2003年(日本未公開)

 

はったさんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス