『ツィゴイネルワイゼン』 (1980) 鈴木清順監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~


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『陽炎座』(1981年)、『夢二』(1991年)と並んで「(大正)浪漫三部作」と呼ばれる、鈴木清順の代表作。

 

難解だと言われる作品であり、なかなかそうなのだが、鈴木清順はこの作品の主題に関して大きなヒントをくれている。それはエンディング近くの豊子(中砂と園の娘)の言葉。

 

「お父さんは元気よ。おじさんこそ生きてるって勘違いしてるんだわ」

 

この作品の主題は「生と死の境のあやうさ」だろう。主要な登場人物は、中砂(原田芳雄)、青地(藤田敏八)、園、小稲(大谷直子二役)。そのうち二人が死ぬのだが、生き残った青地に対しての先の言葉で、生と死が逆転していることを知る。もう一人生き残っている小稲の最後に出てくるシーンでも、死んだはずの園のイメージが色濃く、その懸念を青地の言葉から読み取ることができる。

 

そして、生きている証が性の営みであり、エロスが強烈に意識されている。しかし、青地がそのエロスに関与していないのも、彼が実は死の領域にいることを暗示していると思われる。

 

度々出てくる切通しや、青地が豊子と出会う神社の太鼓橋といった場景は、黄泉の国と現世の境界をイメージさせる。

 

「生と死の境のあやうさ」という主題に関与しないモチーフは、あまり気に止めなくてもいい。土座衛門の股から這い出るカニや暗闇から青地を止める三本の手のようにシュールな意匠や、いかにも意味深な牛鍋の異様な量のこんにゃくや盲目の三人など。それらの意味をあの世の鈴木清順に聞けば、深遠な含蓄を聞かせてくれるかもしれないし、「ただなんとなく。面白いから」と言うかもしれない。

 

この作品に関してよく言われる映像美は、「何だかよく分からないけれども、いいかも」的なコメントのように感じる(それは、『花筐/HANAGATAMI』に関して自分が感じたこと)。それよりもテーマに深さのある、実に味わい深い作品。

 

★★★★★ (5/10)

 

『ツィゴイネルワイゼン』予告編

 

 

 

 

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