『鉄道員(ぽっぽや)』 (1999) 降旗康男監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~


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本作の原作短編は既読で、面白く読んだ記憶がある。しかし、降旗康男の現時点での最新作2作(2013年『少年H』、2017年『追憶』)は、いずれも劇場で観てがっかりさせられたため、あまり期待していたわけではなかったが、これがなかなかよかった。

 

廃線が間近に迫った北海道のローカル線。その終着駅で駅長を務める佐藤乙松。生まれたばかりの娘を失い、妻にも先立たれ、仕事一筋に生きてきた男の物語。

 

正直、主人公の生き方にはなんの共感もできない。家族を犠牲にするほどの価値を仕事には見出せないから。それを美談とすることの精神性の危うさすら感じる。

 

しかし、短編を大きくふくらませて映画化されたこの作品がよかったのは、作品のストーリーやテーマというよりは、乙松を演じる高倉健の存在感そのものだった。

 

そして不器用で愚直な男が、周りの者にも意図せず影響し、やはり真摯に生きることを悟らせる様がよかった。ただそれは人に辛いときもある。結婚17年にして、初子を妊娠した妻が、それまでのプレッシャーから解放されたかのように、あなたはこれまで自分のことを責めてきたと心情を吐露するシーンは涙を誘った。勿論、そんなつもりは乙松には毛頭もないことは、妻も分かっているだろうけど。時には少々うっとうしい演技もある大竹しのぶのこのシーンではいい演技をしていた。

 

夭逝した娘が成長した姿となって乙松の前に現れるのだが、小学校6年生(谷口紗耶香)が父親とキスをするのは、娘がいないだけに想像できないが、少々居心地が悪かった。高校生役の広末涼子は可もなく不可もなくだが、彼女ほどメジャーな女優でなくても(というか、ない方が)いいと感じた。あくまで主役は高倉健なのだから。

 

主役が高倉健でなければ、アナクロな道徳観のべたついたお涙頂戴ものになっていたかもしれない。それを全て救ったのが高倉健という作品。

 

★★★★★★★ (7/10)

 

『鉄道員(ぽっぽや)』予告編

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