『花筐/HANAGATAMI』 (2017) 大林宣彦監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~


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大林宣彦の作品で個人的ベストと言えば『HOUSE ハウス』。中学時代に劇場で観て、そのシュールさにショックを受けた。そしてその後、レーザーディスクを購入して、何度か観た作品。その後の情緒的で、どこか懐かしさを呼び覚ます尾道三部作もいいが(憧れて、実際に訪れた尾道は案外だったが)、監督デビュー作でやりたいことを目一杯やった感がある『HOUSE ハウス』が、自分にとっては最も大林宣彦らしいと思える。

 

肺がんと診断され、余命数ヶ月を宣告された大林宣彦監督の渾身の作品は、出だしの映像感覚からして『HOUSE ハウス』を彷彿とする、大林宣彦監督らしいと思わせるものだった。抗がん剤治療が功を奏して、「余命は未定」となったことは、日本映画界にとっては朗報である。

 

オーバーラップ(二重写し)をこれでもかというほど目立つように多用し、色鮮やかな幻想的な風景はかなり面喰ってしまう。それ以上に「異常」なのは、登場人物。16歳や17歳という設定なのに、どうしても30歳にしか見えない。それもそのはず、クランクインした時点では、主要な登場人物を演じる窪塚俊介は34歳、長塚圭史に至っては40歳なのだから。長塚圭史は「虚無僧のような」謎めいた少年吉良を演じているからまだしも、窪塚俊介演じる榊山俊彦は17歳そのものという無邪気な役回りで、かなりキモい。この露骨に実年齢と異なる役をさせる監督の感覚にはかなり違和感があった。

 

終始、映像の面白さは感じたものの、ストーリーには心打たれることはなかった。特に、時代設定を第二次世界大戦開戦前夜に置き、戦争を前景に置いたことは、檀一雄の原作との比較においても重要な改変点なのだろうが、あまり明確なメッセージ性(反戦?)を感じなかった。

 

あと女優(矢作穂香、常盤貴子)の全裸シーンで、細部をCGで塗りつぶすのは今日いかがなものか。見せたくないのなら、もう少しやりようがあるだろう。一世代前のモザイクではあるまいし。

 

窪塚洋介、満島ひかり、柄本佑の弟3人と長塚・常盤夫婦というかなり特異なキャスティングは、何か意図するところがあったのだろうか(「安上がり?」というのは冗談)。

 

168分という長尺も疑問。無意味なシーンが少なくなく、同じ長尺で一見無意味と思われるシーンが挿入されていても、それがエンディングに向かって収束していくラヴ・ディアスのような作品(例えば3時間46分の『立ち去った女』)とは異なる。

 

唐津のおくんち祭りのシーンを始め、映像的な魅力は十分にあるのだが、それ以上ではないと感じられた。現時点でDVD化されず、映画館で観るしかない作品だが、DVD化しても売れるかは疑問。

 

キネ旬ベストテン邦画2位、毎日映画コンクール作品賞受賞と、批評家受けするのかもしれないが、自分には響かなかった。大林宣彦監督の長寿を祈ると共に、今後に期待したい。

 

★★★ (3/10)

 

『花筐/HANAGATAMI』

 

近年の毎日映画コンクール作品賞受賞作の個人的評価

 

2000年 『顔』 ★★★★★★ (6/10)

2001年 『千と千尋の神隠し』 ★★★★★★ (6/10)

2002年 『たそがれ清兵衛』 ★★★★★★★ (7/10)

2003年 『赤目四十八瀧心中未遂』 ★★★★★ (5/10)

2004年 『血と骨』 ★★★★★ (5/10)

2005年 『パッチギ!』 ★★★★★★★ (7/10)

2006年 『ゆれる』 ★★★★★★★★★ (9/10)

2007年 『それでもボクはやっていない』 ★★★★★★★ (7/10)

2008年 『おくりびと』 ★★★★★★★★ (8/10)

2009年 『沈まぬ太陽』 ★★★★★★ (6/10)

2010年 『悪人』 ★★★★★★★★ (8/10)

2011年 『一枚のハガキ』 ★★★★ (4/10)

2012年 『終の信託』 ★★★★★★★ (7/10)

2013年 『舟を編む』 ★★★★★★★ (7/10)

2014年 『私の男』 ★★★★★★★★★ (9/10)

2015年 『恋人たち』 ★★★★★★★ (7/10)

2016年 『シン・ゴジラ』 ★★★★★★ (6/10)

2017年 『花筐/HANAGATAMI』 ★★★ (3/10)

 

 

 

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