『未来を生きる君たちへ』 (2010) スサンネ・ビア監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~


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デンマーク映画。アカデミー賞外国語映画賞受賞作。

 

エリアスは、スウェーデン人であることや歯の矯正を理由に「ネズミ顔」とあだ名され、学校でいじめを受けていた。ロンドンから転校してきたクリスチャンは、そのいじめを止めようとしたことから、同じくいじめにあう。急速に仲良くなっていった二人の少年の共通項には、複雑な家庭問題があった。エリアスの父親は、アフリカの難民キャンプで医師として働いていたが、かつての不倫を妻が許してくれず、家庭は崩壊寸前だった。がんで母親を失っていたクリスチャンは、母親が最後まで治療を続けず諦めたことは、父親が見殺しにしたのだと思い父親を恨んでいた。学校でいじめにあっていたクリスチャンは、いじめる相手に報復し、警察沙汰になる。クリスチャンの父親は、暴力では何の解決にもならないと諭すが、彼を恨むクリスチャンの心には届かなかった。ある日、エリアスの弟のけんかを仲裁したエリアスの父親は、けんか相手の子供の父親に殴られるが、報復することはなかった。それを見ていたクリスチャンとエリアスは、エリアスの父親の代わりに、その男に報復することを計画する。

 

報復することは恨みの連鎖を生むしかなく、何の解決にもならないという非常に重要な今日的テーマ。それを家庭レベルで描いていることがこの作品の意義。

 

しかもあまり教条的に感じないのは、報復あるべしという子供を諭す大人が、やはり内面に悩みを持つ生身の人間であるから。それが説得力を増している。

 

特にエリアスの父親のアフリカの医療現場でのエピソードは、非常にインパクトがある。医療施設にかつぎこまれた患者の一人が、ボコ・ハラム真っ青の狂暴集団の首領だった。彼らは度々、妊婦の腹をかっさばいていたが、なぜそのようなことをするかといえば、生まれてくる子供が男の子か女の子かを賭けてするという人間として最低の行為。それでも医者の倫理として彼を助けようとする。「赦す」ということの尊さを思わせる。それに比べれば、現実社会の日常におけるいざこざなど取るに足らないと思わせる。

 

為政者が隣国の脅威を煽って右傾化する現代の世界において、この映画が描くテーマは非常に重要。そしてその重要なテーマを道徳の教科書っぽくなく、人間臭く描いた秀作だと言える。デンマーク語原題の『Hævnen』の意味は「復讐」。英題の『In A Better World』は、より希望を持たせる秀逸な翻訳。それに比して、邦題の『未来を生きる君たちへ』は押しつけがましくてセンスがないと思われる。観る価値大の作品。

 

★★★★★★★ (7/10)

 

『未来を生きる君たちへ』予告編

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