『誰も守ってくれない』 (2008) 君塚良一監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~


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警察の加害者家族保護プログラムという非常に興味深いテーマ。加害者のみならず、その家族までも社会的制裁にさらされることの問題点を扱っている。

 

そうした社会的に重要なテーマを扱いながら、扱い切れていないというのが鑑賞した後の感想。

 

まず観終わって、無味乾燥な印象を得た。例えば、家族が身内の「不幸」をきっかけに結束を強めるという展開ならばもう少し面白いと感じたのだろうが、家族間の葛藤や愛情の交流が全く欠落しているのが残念だった。加害者家族間の感情の交流がないのが、無味乾燥に感じた理由だと思う。

 

主人公の兄は小学生2人を殺害した「少年A」。ほとんど画面に登場しない父親の厳しい教育が原因であるかのように描かれ、事件の背景の掘り下げも甘い。そして娘もいるのに、母親があっさりと自殺(少年が逮捕された日だったか翌日だったか)するのも不自然。

 

そして一番大きな違和感が、少なからずの設定のあり得なさ&やり過ぎ&ステレオタイプ。最も顕著なのは、マスコミや社会から加害者と同じ苗字だとバッシングされるからと、少年の逮捕直後に家族に戸籍を入れ直させて、母親の苗字に変える設定。アメリカの証人保護プログラムさながらなのだが、それはマフィアから命を狙われることを避けるほどの危機的状況だからのこと。しかも、裁判も受けていない段階で「推定無罪原則」を完全に無視して、警察が半ば強制的に戸籍を変えさせるなどということはあまりにも非現実的。

 

マスコミの過激報道の描写もやり過ぎ。ダイアナ妃を追いかけるパパラッチばりのカーチェイスを、マスコミと警察が繰り広げるのは映画の演出以外の何物でもない。そしてネット民の描写もあまりにステレオタイプ。ネットヲタクは暗くて反社会的な奴ばかりという描き方はバカにし過ぎ。

 

佐藤浩市の演技は悪くなかった。松田龍平は、テーマにそぐわないふざけた感じがミスキャスト。

 

テーマの着眼はいいのだが、君塚良一監督は『踊る大捜査線』シリーズのようなエンターテインメントの方が向いているのだろう(実は『踊る~』は一作も観ていないのだが)。

 

★★★ (3/10)

 

『誰も守ってくれない』予告編

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