『きみの鳥はうたえる』 (2018) 三宅唱監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~


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小学生の頃に初めて買ったラジカセのSONY Studio1980。丁度、愛鳥週間の時だった。なぜそんなことを覚えているかというと、初めてラジオ音源のエアチェックをしたのが、ビートルズの「And Your Bird Can Sing」だったから。その曲名から取った作品名であることは、オープニング・ロールに「And Your Bird Can Sing」と映し出されて理解した。とすれば、ストーリーもその歌詞に沿ったものであろうことは想像できた(ジョンのことだから、かなりひねっているのだろうが、素直に読めば横恋慕する男の歌)。

 

佐藤泰志原作と聞けば、映画ファンは期待せざるを得ない。それは佐藤泰志原作の映画化作品の「函館三部作」(熊切和嘉監督『海炭市叙景』、呉美保監督『そこのみにて光輝く』、山下敦弘監督『オーバーフェンス』)が素晴らしかったから。自分が映画監督ならば、函館三部作に続いて佐藤泰志原作を映画化するとなれば、相当意気込むであろう。

 

ある夏の函館。失業中の静雄と一緒に暮らす「僕」。その二人に「僕」と同じ書店で働く佐知子が加わり、3人は夜通し酒を飲み、踊り、笑いあう。その幸福な日々は、微妙なバランスで成り立っていたが、いつも終わりの予感と共にあった。

 

夜明けの函館の街並みが悲しいほどに美しい。若者の刹那的な幸福感と実に調和している。原作の舞台は東京なのだが、それを函館に翻案したことはこの作品の成功に大きく寄与している。

 

恋愛がテーマなのだが、あまりにリアルな生活感にあふれていて、なまっちょろいイメージがつきまといがちな「恋愛物」とは言わせない緊張感がある。やはりそれが原作のよさなのだろう。

 

そしてその原作のよさ、脚本のよさを際立たせているのが出演陣の演技。特に、柄本佑の、演技とは全く思えない演技は圧巻だった。秀作『美しい夏キリシマ』(2003年)でデビューして以降、あまり印象深い作品はなかったが、この作品での「僕」の演技は賞賛に値する。そして石橋静河。昨年公開の『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』で、新人賞を総なめにした彼女だが、この作品での彼女は断然『夜空は~』よりも輝いている。もう親の七光りとは誰も思わないだろう。

 

函館三部作の『そこのみにて光輝く』『海炭市叙景』には及ばないものの、それはそれらがあまりにも素晴らしいからであり、『オーバーフェンス』よりはいい出来。全面的に共感するには、残念ながら自分はそれほど若くもなくなってしまったが、やはりいいものはいいと思える作品。観る価値は大きい。

 

★★★★★★★ (7/10)

 

『きみの鳥はうたえる』予告編

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