『蜘蛛巣城』 (1957) 黒澤明監督

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何度目かの鑑賞。いい作品は何度観てもいい。そして今回はDVDで日本語字幕入りで鑑賞したことがよかった。録音の質と言い回しの問題で、耳で聞いただけでは理解できない部分もあるため。

 

17世紀初頭にシェークスピアによって書かれた『マクベス』を日本の戦国時代に置き換えた作品。人間の性(さが)は、洋の東西を問わず、しかも数世紀の時間を隔てても、何ら変わるところがないという証左。そして『マクベス』云々を言わずとも、優れた作品であることには変わりなく、それはやはり、黒澤のクリエイティビティと、三船敏郎や山田五十鈴を始めとする役者の演技力による。

 

戦国の武将二人(三船敏郎、千秋実)が戦功なして領主の下に向かう道すがら、森の中で物の怪と出会うところから物語は始まる。そして物の怪の予言を自己完結するように物語は展開していく。

 

三船のオーバーアクション的な演技(特に千秋実との対比で、表情からして)が強い印象を与える。時には気弱な、三船演ずる鷲津武時は人間的な側面が見て取れるが、対して山田五十鈴演ずる妻の浅茅は、まさに般若。能の影響が伺える二人の演技だった。

 

黒澤作品としては、『七人の侍』『用心棒』には譲るものの、『生きる』『隠し砦の三悪人』といった作品と並ぶ良作。見逃すべきではない。

 

★★★★★★ (6/10)

 

『蜘蛛巣城』予告編