貧富格差が拡大し、多くの人々が貧困に苦しむ2045年。彼らにとっては、VRの世界「OASIS(オアシス)」に入り、理想の人生をヴァーチャルで楽しむことが唯一の希望だった。そんなある日、オアシスの開発者のジェームズ・ハリデーが死去する。そして、オアシス内に隠された3つの謎を解明した者には、莫大な遺産とオアシスの運営権を明け渡すというメッセージが発信される。巨大企業IOI社はその謎を解きオアシスを管理することで、世界をコントロールすることを目論んでいた。それに対抗し、世界中の人々は我先にと謎解きに奔走するが、17歳の青年ウェイドもその一人だった。そしてウェイドは、1つ目の謎を解き明かすことに成功し、一躍オアシスの有名人となる。

 

スピルバーグの作品で最後に面白かった作品と言えば、2005年の『ミュンヘン』まで遡らなくてはならない。かつてはエンターテイメント系作品の方が出来がよかったスピルバーグだが、90年代以降はより社会的な作品に力を入れているように感じた。

 

この作品は、完全にエンターテイメント系であり、近作の中では評価されているもの。しかし自分にとっては、正直全く幼稚で面白くなかった。

 

オアシスの開発者ハリデーは80年代カルチャーオタクという設定で、その時代の音楽やキャラクターが満載ということが受けていると思われる。

 

例えば、レースのシーンでは、アバターたちが運転するビークルは、『アキラ』の金田のバイク、『マッドマックス』のビッグフット、『BTF』のデロリアンだったりする。そのほかにもアイアン・ジャイアントやゴジラや、なんとガンダムまで登場してくる(そしてガンダムの格闘シーンは、サービスシーンらしくかなりたっぷり見せてくれる)。

 

そうしたディテールを楽しむだけの映画。主要な登場人物(「ハイファイブ」と呼ばれる5人)だが、ヴァーチャルなオアシスの世界ではそれぞれキャラ立ちしているが、彼らがリアルな世界で登場すると(ストーリーは、オアシスの中とリアリティの世界とが平行して進行する)、全く地味。少年・少女が複数登場して活躍する映画では、それぞれの個性が魅力だったりするが、この作品ではそれが見られない。また、いかに世の中の多くの人がVRにのめり込んでいたとしても、一つのゲームの世界を管理して世界をコントロールするというIOI社の野望はあまりにも非現実的。2045年になぜ80'sがそれほどヒットしているのかも意味不明(ただ単に1972年生まれの原作者アーネスト・クラインの個人的趣味だと思われる)。

 

と言いながら、主人公たちが映画『シャイニング』の世界に迷い込むシーンでは、かなりテンションが上がった。その中の一人は映画を観ていないという設定で、「あー、エレベーターのボタン押しちゃだめ!」とか「その237号室に入っちゃだめ!」とか。ジャックの斧と雪の中の迷路を組み合わせたシーンもよかった。

 

と言うことで、ストーリーやテーマというより、ディテール発掘に観客がどれだけオタク度を発揮できるかという映画。自信があれば是非。

 

★★★★ (4/10)

 

『レディ・プレイヤー1』予告編