ある平和な山村に、突如として村人が自身の家族を虐殺する事件が多発する。殺人を犯した村人に共通していたのがは、湿疹でただれた肌、濁った眼、そして言葉を発することもできない状態で現場に居残っていることだった。警察の発表では毒キノコの影響によるものだとされたが、村人たちは、村はずれに住みついた得体のしらないよそ者が事件と何らかの関係があるのではと噂していた。事件を担当する村の警官ジョングは、自分の娘に殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付き、噂を信じて娘を救うためによそ者を追い詰める。しかし、事態は更に悪化することに。

 

観客を騙すという点ではなかなかよくできた映画。ただ、その仕掛けが複雑過ぎて、いくつかの解釈を許してしまう。以下、ネタバレを含めて考察してみる。

 

まずあり得る解釈の一つは、全てが毒キノコの影響による幻覚で、映像で映し出されたもののかなりの部分が殺人を犯す村人が見ていたものと同じであるという、「夢オチ」的解釈。「夢オチ」は結局何でもありになってしまうので、そうだと分かった瞬間に気を削がれてしまう。ここではその解釈は取らない。

 

村人の間で殺人が連続的に起こることが誰かの呪いであるならば、その呪いをかける可能性がある人物と言えば、謎の女、シャーマン、國村隼の3人(國村が見つけゾンビ化した死体にはその可能性はない。なぜなら彼が自滅した後にも事件は起こっているから)。

 

謎の女とシャーマン、それから謎の女と國村はそれぞれ敵対していると考えられる。謎の女が呪いをかけているというのはシャーマンの言葉だが、それを示すのは実のところ彼の言葉だけしかない。対して、シャーマンが呪いをかけているということには物証がある。それはエンディング近くで彼が持っていた被害者の写真(元々國村の住居にあったもの)である。

 

シャーマンが悪で、謎の女が善だとすると、警官ジョングが娘の手に掛かった姿をシャーマンが写真に撮ることも理にかなう。また國村は、見つけた死体を甦らそうと祈祷していたのだが、シャーマンの言うように國村もシャーマンであれば、そんなことをする理由がない。シャーマンと國村は、同じデーモン仲間だと考えることがより合理的だろう。対して、謎の女は村の守護霊のような存在ではないだろうか。

 

前半はコミカルなシーンをからめているが、後半になってぐっとシリアスにギアチェンジするところは韓国映画らしい。その前半においても凄惨な殺戮シーンがあり、それもやはり刺激の強い韓国映画らしいが、少々やり過ぎ感がある。そして、前半はテンポがスロー過ぎ、後半は詰め込み過ぎと言った感じ。もう少し編集のしようがあったのではないだろうか。2時間36分という比較的長尺な作品だけに。

 

オカルトはそもそもが科学的検証ができないだけに、何でもありでストーリーは雑になりがち。予告編のおどろおどろしさほど怖くもないし。日本の役者が海外の作品に出て活躍しているのを観るのはうれしい限りではあるが。

 

★★★★★ (5/10)

 

『哭声/コクソン』予告編