『ヴァージン・スーサイズ』(1999年)での監督デビューが衝撃的だったソフィア・コッポラ。その瑞々しい感性に心動かされ、いまだに好きな作品の一つ。その感性は、『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年)で更に洗練された形で表現されたように感じた。しかし、それに続く『マリー・アントワネット』(2006年)は(期待が大き過ぎたこともあって)、案外。以来、ご無沙汰していたソフィア・コッポラ監督だった。その彼女の新作は、1971年クリント・イーストウッド主演の『白い肌の異常な夜』のリメイク。

 

南北戦争中のバージニア州。女子寄宿学園に傷を負った北軍兵士マクバニー(コリン・ファレル)が運び込まれる。園長のマーサ(ニコール・キッドマン)は、彼を寄宿舎に置くことを決める。教師のエドウィナ(キルステン・ダンスト)や生徒のアリシア(エル・ファニング)らは、ハンサムなマクバニーに引きつけられるが、やがて女性たちの間に嫉妬がうずまき、悲劇的な事態を迎える。

 

前半は、女性たちの「憧れ」のマクバニーを巡る彼女たちの愛憎織りなす蠱惑的な物語が、ある出来事をきっかけに暗転し、サイコスリラーとなる。しかし、展開は比較的シンプルで、1時間33分があっという間に感じられた。

 

当時のアメリカ南部を舞台にしているところが物語の重要な背景。女性の立場は著しく抑圧され、彼女たちは閉鎖的な環境で暮らしていた。それを体現したのが女性しかいない寄宿学園。そこに「異物」が侵入し、当初は興奮をもって歓待されたが、実は自分たちにとって有害な存在であることが示され、結局、実力をもって排除するという展開。それを女性のみの手によって成し遂げるというところが、重要なテーマとなっている。

 

衣装を始めとする美術意匠のこだわりは、さすがソフィア・コッポラ。映像の、全体にやわらかで上品なトーンも彼女の持ち味だろう。終始、寄宿舎の暗いイメージが支配的だが、そこに灯されたロウソクの明りが印象的だった。

 

女性の弱さを魅力的に、そして強さを毅然と演じたニコール・キッドマンの演技が際立っていた。

 

かつての輝きには及ばないものの、ソフィア・コッポラの新作は彼女らしい小品だった。

 

★★★★★ (5/10)

 

『ビガイルド 欲望のめざめ』予告編