『アウトレイジ 最終章』(2017) 北野武監督

Sat, October 28, 2017 22:46:16 Theme: 邦画 あ行

 

北野武の映画監督デビューは鮮烈だった。徹底した暴力のリアリズムとドライなユーモアによる新境地を開拓したと言っていい。『その男、凶暴につき』に続き『3-4X10月』、(個人的に一番好きな『あの夏、いちばん静かな海。』をはさんで)『ソナチネ』の初期の三作は同じ路線を踏襲している。

 

北野作品が映画としての深みを増したのは『キッズ・リターン』以降。若干「いい映画」を意識したあざとさの感じられる『HANA-BI』を経て、完成度がピークに達したのは『菊次郎の夏』だった。しかし、以降ほぼ毎年のように発表される作品から輝きが失われたように感じたのは自分だけだったろうか。

 

北野武監督の原点回帰と言える作品が『アウトレイジ』(2010年)。「主人公は暴力」と言えるほどであり、クラシックでウェットな従来の任侠映画とは全く異なる、モダンでドライな極道ものに息を吹き返した感があった。そして、それに続く『アウトレイジ ビヨンド』(2012年)の出来は前作を上回るものだった。超駄作の『龍三と七人の子分たち』をはさんで、シリーズ前作から5年を経て制作された完結編が本作。

 

残念ながら、その出来は芳しいとは言えなかった。前作までは、抗争は極道ものの王道である、勢力を争う組対組のもの。それが本作での構図は、日本やくざ対韓国やくざになっている。しかし、韓国やくざはあくまで揉め事を避ける姿勢であり、暴力が発揮されるのは日本やくざの内輪もめ。暴力を肯定しないという意図はあるのだろうが、それにしてもカタルシスがなさすぎる。スケールが小さいと感じられた。

 

暴対法の施行以降勢力を失った旧態然としたやくざに取って代わったのは、表面上は通常の企業活動を行いながら陰で経済犯罪に手を出し資金稼ぎをする「経済やくざ」という新タイプだが、この作品での日本やくざのシノギは覚醒剤というスマートさに欠けるもの。対して韓国やくざの収入源は、あくまで合法な国際的不動産投資であり、主役となる日本の極道のスケールの小ささがここでも浮き彫りとなった。

 

暴力シーンも、『アウトレイジ』での伝説的な椎名桔平の首引きや、『アウトレイジ ビヨンド』でのバッティングセンターのシーンのような刺激はなく、かなり小粒。

 

役者陣では、ひとなつっこいやんちゃな役という北野作品ではオフィス北野の寺島進が演じる定位置を大森南朋が演じている。悪くなかった。日本やくざの中では(自分が苦手な)西田敏行か。地の性格の悪さが出ているかのよう。

 

北野武監督がかつての輝きを取り戻すことはあるのだろうか。

 

★★★★ (4/10)

 

『アウトレイジ 最終章』予告編

 

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