デンマーク発の素晴らしい作品。

 

1960年代のデンマークのコペンハーゲン。13歳のエリックと10歳のエルマーは母親と暮らしていた。しかしある日、病弱な母親が入院することになり、兄弟は養護施設に預けられる。そして、職員から体罰や性虐待を受け、エリックは施設で生きるためには幽霊のように目立たずにいようとエルマーに諭す。

 

デンマークの映画監督と言えば、ラース・フォン・トリアーがいるが、この作品も彼の作品と同じく心をえぐるような作品。作品の終わり9割までは虐待の凄惨なシーンが続くと言ってもいいくらい、重い雰囲気。それが最後に解き放たれる。

 

虐待をする側は、虐待される彼らのためだと言う。それは必ずしも嘘というわけではないのだろう。しかし力を持った側の独善的な「しつけ」は無慈悲な暴力でしかない。この作品はデンマークで実際に起こった事実を元にしているが、同様の暴力は、洋の東西を問わず、強者から弱者にふるわれる。その暴力は肉体だけではなく、心をも殺してしまう。この作品の中でも、観ていて一番辛かったのは、肉体的な暴力ではなく、食事中に伝えられた母の訃報に泣き崩れる兄弟に校長が「黙って食べろ!」と激高するシーン。

 

兄弟を押しつぶす肉体的・精神的虐待に、彼らが力を合わせて耐えていく姿は心を打つ。終始、兄はハンディキャップを負う(内反足)弟をかばうが、その兄が校長に打ちのめされて意識が戻らない日が続き命の危険が訪れた時、弟は勇気をもって行動に出る。観ていて思わず「頑張れ!」と応援したくなる。

 

とてもよい展開だったのは、彼ら兄弟が自分たちを自らの力で救済するだけではなく、施設のほかの子供たちにも影響を与えて、彼らが力を合わせて虐待に立ち向かうようになるところ。

 

宇宙飛行士を夢見る少年のなんとなくぬるい作品かと思いきや、かなりシリアスでハードな作品。だが、彼らの生き様は、映画の中の施設のほかの少年だけではなく、スクリーンのこちら側で観る者全てに勇気を与えると思う。是非、観てほしい作品。

 

★★★★★★★★ (8/10)

 

『きっと、いい日が待っている』予告編

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