西部劇の名作の一つとされる作品。

 

西部の小さな町で結婚式を挙げたばかりの保安官ウィル(ゲイリー・クーパー)。その日が彼の任期の最後の日だった。その彼に届いた知らせは、かつて彼が逮捕した無法者の一人が絞首刑を減刑され、町に戻ってくるという。駅では彼の弟とその仲間二人が待っていた。皆に促され、一旦は町を出るウィルと新妻のエミー(グレース・ケリー)だったが、町の治安を守るため、ウィルは彼らとの対決を決意して町に戻る。父と兄を銃撃で失ってから平和主義のクエーカー教徒となったエミーは戦うことに否定的であり、もしウィルが戦うのであれば彼を置いて一人町を去ろうと駅へ向かう。ウィルは協力者を求めるが、町の住民は怖気づき、誰も協力しようとはしなかった。やがて汽車が駅に着く正午となり、エミーが乗り込むとすれ違いに、ウィルへの復讐を誓う無法者が駅に降り立った。

 

映画に登場する保安官と言えば、正義を守る強いヒーローだが、この作品ではその限りではない。一人では立ち向かうことができないと協力者を求めて、町を歩き回り、皆から拒絶されると失意の中で遺書までしたためている。それでも逃げ出さないところがぎりぎり正義漢といったところだが、強い勇者のイメージではない。

 

町の住民の利己的な人間の弱さや保安官ウィルの心の葛藤など、人間的なドラマとしては確かに面白い作品。だが、西部劇としてはどうか。『続・夕陽のガンマン』や『ワイルド・バンチ』といった作品と比較すると、様式美的な一種の雰囲気に欠けているような気がする。邦題にある「決闘」シーンも今一つの展開。

 

主演のゲイリー・クーパーは、この作品の発表前、人気に陰りが出てきた頃(この作品の前年、ヘラルド紙の"list of the top 10 Box Office performers"から外されていた)。この作品のヒットで人気スターに返り咲く。ヒロインは、この作品が映画出演2本目となる、まだ駆け出しのグレース・ケリーが抜擢された。この二人の撮影時の年齢は50歳と22歳。この二人が結婚するという設定はあまりにも年齢差があるだろう。グレース・ケリーの演技が若干固いことを除けば、二人の演技に問題はないのだが。

 

作品の中の時間と実際の上映時間がシンクロして、刻一刻と迫る危機への緊張感を感じさせる作りはよかった。最後の決闘シーンに期待せずに、それまでの人間ドラマとして観るべきだろう。

 

★★★★★★ (6/10)

 

『真昼の決闘』予告編

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