『西部戦線異状なし』 (1930) ルイス・マイルストン監督

Fri, July 28, 2017 23:56:17 Theme: 洋画 サ行

 

原作は、ドイツ出身のエーリヒ・マリア・レマルクが1929年に発表し、世界的な大ベストセラーになった反戦小説。アメリカ映画ながら、登場するのはドイツ軍。そして戦争の過酷さをドイツ側から描くという、アメリカ映画としては異色の作品である。

 

第1次大戦が始まってまもない、ドイツのある町。群衆の歓声に送られて、戦場へ向かう大部隊が進軍してゆく。学校の教室では、老教師が生徒に愛国心を説いていた。情熱に駆り立てられた若者たちは、ただちに出征を志願する。しかし、彼らが向かった前線は飢えと死の恐怖だけの熾烈な毎日だった。

 

軍服や装備等ドイツ兵の考証はしっかりされているが、彼らが話しているのが全てアメリカ英語というのが不思議な感じで、アメリカ兵が主人公のような錯覚を受ける。通常であれば、言語の違いは気になるところだが、テーマは戦争の悲惨さを訴えるという普遍的なものだけに、それでもいいかなという感じ。

 

原作が書かれた1929年、映画が製作された1930年のドイツと言えば、国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)が政権を取る(1933年)前夜。第二次世界大戦に向けて翼賛的な世論が形成されやすかったことは容易に想像される。そのご時世に、これだけ反戦的な表現がされたということは驚きである。

 

しかも、戦争自体を否定するのみならず、前線から帰還した兵士のPTSDを描いている点にも驚かされた。

 

若くして従軍した主人公のポール(本来ドイツ語読みならパウル)が、同じく学生から志願した戦友が次々と死ぬ中生き延び、古参兵になって故郷に休暇で帰るシーン。酒場では戦地に行くことのない老人たちがゲームのように戦局を論じている。また自分の通った教室を訪れると、相変わらず老教師が無責任に学生をアジっている。そして戦争は悲惨であり、死は美しくないことを学生に伝えようとすると「卑怯者」とののしられる。そして彼は戦線にしか居場所はないと感じて、休暇を切り上げ戦地に戻るのである。

 

ただ悲惨な情景ばかりではなく、訓練や戦地でのコミカルな日常も描かれていて、メリハリがある。

 

戦争をテーマにしたクラシックにして名作。観て損はない。

 

★★★★★★★ (7/10)

 

『西部戦線異状なし』予告編

AD
いいね!した人  |  Comments(0)  |  リブログ(0)

はったさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

Comments

[Publish Your Comment]

Add your comment

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。