『裁き』(2014) チェイタニア・タムヘイン監督

Wed, July 19, 2017 16:05:45 Theme: 洋画 サ行

 

マンホールの中で下水清掃人の死体が見つかり、65歳になる民謡歌手のカンブレが逮捕され、起訴される。清掃人の死が自殺とみなされ、カンブレの扇動的な歌が彼を自殺に駆り立てたという容疑だった。そして裁判が始まり、人権派の弁護人と古びた判例を持ち出し有罪を問う女性検察官が対峙する。その両者の間に立つのが公正をモットーとする裁判官だった。

 

というと法廷物を想像するに違いない。しかし、この作品でのドラマは法廷の中よりも外、そして弁護人、検察官、裁判官の生身の生き様が物語の中心となっている。

 

確かに作品の中でも法廷闘争は描かれているが、それは添え物に過ぎない。被告人カンブレは登場人物として、何をしたかは描かれているが、何を考え、どのような人間だったかとまでは掘り下げられていいない。掘り下げられているのは、法廷という空間にたまたま居合わせた弁護人、検察官、裁判官の三者であり、しかも彼らの法廷とは全く関係のない私生活がドラマの中心である。

 

つまり、彼らは例えば殺し屋に狙われたターゲットと殺し屋、そして殺人を依頼した依頼人でもよい。誰にでもそれぞれの私生活、人生があり、それを描いているから。

 

そこにはインドの民衆の中にある様々な格差、差異がごちゃ混ぜになっている。経済的な格差もあり、言語(英語、ヒンディー語、マラティー語)の違いやカーストに根差す身分格差もある。それらが複雑に絡み合って現在のインドが成り立っていることをこの作品は見事に映し出している。

 

政治的あるいは宗教的なメッセージを歌に乗せて訴えるカンブレの歌うシーンは、テーマとしては重要ではないが、インドの外にいる人間にすれば、やはりエキゾチックで印象的。妙に耳に残る。

 

『Dangal』を観た時にも感じたが、インド映画の深化は侮れないものがある。この作品も注目すべきもの。

 

★★★★★★ (6/10)

 

『裁き』予告編

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